エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2017年10月23日

2050年のエネルギー(2017年10月23日掲載)

 

 パリ協定を前提に2050年をにらんだ長期的なエネルギー政策の方向性を検討する「エネルギー情勢懇談会」が始まりました。委員は、東大の五神真総長、三井物産の飯島彰己会長、日立製作所の中西宏明会長、コマツの坂根正弘相談役、アジア経済研究所の白石隆所長、アジア・パシフィック・イニシアティブの船橋洋一理事長、宇宙飛行士の山崎直子さんと私です。よい機会なので、できるだけ勉強し、考え、伝えていきたいと思っています。

 私は情勢懇での議論を広く伝えるために「エダヒロのエネルギー情勢懇談会レポ!」というサイトを立ち上げました。資料の解説や、委員の発言の中で印象的だった箇所の抜粋、自分の発言や今後についての見通しなどをアップしています。よかったらぜひご覧ください。

 情勢懇の第1回会合は8月30日に開催され、事務局からの資料の説明を受け、委員の発言がありました。
 第2回の情勢懇は、9月29日に開催されました。英国と米国から専門家をゲストとして招き、地政学の観点からのエネルギー情勢の見通しについて、お話をうかがい、意見交換しました。
 第3回は気候変動がテーマとなります。情勢懇は、パリ協定の「今世紀後半のできるだけ早い時期に温室効果ガス排出量を実質ゼロにする」という目標を受けて、「この野心的な取り組みは従来の取り組みの延長では実現が困難」という認識のもとに開催されているため、気候変動は中核的なテーマなのです。

 第1回で私は、論点として挙げられている項目を見て、「輸入メンタリティからの脱却を」と発言しました。
 日本はこれまでエネルギーを輸入に頼ってきましたから、油価の見通しや世界の地政学的情勢の展望に目が行くのは理解できます。しかし、2050年になっても今と同じように大型の発電所から全国津々浦々の家庭まで長い送電網で送電しているとは思えません。
 大容量・安定・安価な電力が必要な工業用は別として、多くの家庭はエネルギーの自給自足を実現し、各地域が域内で発電した電力を域内で融通する仕組みを持ち、海外情勢による輸入エネルギーの途絶や値上がりにも強い地域になっている、そうしていかなくてはならない、と思うのです。そう思いませんか?
 また、エネルギーというと「電力」の話に偏りがちですが、「熱」についての議論もきちんと進めていかなくてはと考えています。

 

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