エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2014年03月12日

企業がNGOを評価したら?(2014年3月3日掲載)

 

「グリーンピース、エレクトロニクス企業の環境責任を評価、ランク付けを発表」といったニュースをご覧になったことがあるでしょうか。

 日本ではあまりありませんが、海外のNGOは、企業の行動を変えさせようと「ランキングや成績表に企業名を載せる」キャンペーンを展開することがあります。
 そういう意味で、企業はこれまでいつもNGOに評価されたり、ランキングの順位をつけられる側でした。

「逆に、企業がNGOを評価したら?」

 このほど、企業の環境への取り組みを支援しているグリーンビズの呼び掛けで、200社(うち75%は売上10億ドル以上の大企業)の環境CSR担当者が30の大手NGOを評価した結果が発表されました。はじめての「企業によるNGOランキング」です。
 評価基準は「影響力」「活動の質の高さ」「効果性」で、NGOは「信頼されているパートナー」「役に立つ枠組みやサービスを提供してくれる」「ブランドに課題あり」「招かざるNGO」の4つに分類されました。

 トップランクの「信頼されているパートナー」は、企業との長期的なパートナーシップと多くの成功事例を有する、企業に優しく、効果的に活動を展開しているNGOで、世界自然保護基金(WWF)など3団体。
「役に立つ枠組みやサービスを提供してくれる」は、グリーンピースなど11団体。
「ブランドに課題あり」は、活動は効果的だがあまり影響力のないNGOで、憂慮する科学者同盟など6団体。
 よく知られていない、またはパートナーというよりも批判者と見られている「招かざるNGO」は、米国動物愛護協会など10団体でした。

 多くの企業は「NGOと長期的なパートナーシップを組んで協働したい」と答え、「NGOと協働するつもりはない」と答えた企業は4%でした。
 またNGOの「企業名を公表する」キャンペーンについては、半分近くが「役にも立たず、害もない」、20%が「自社が方針を変えなくてはと思う上で、非常に効果的だった」と答え、「自社にとって害があった」は5%でした。
 報告書には「企業とのコラボレーションに向けての企業からNGOへのアドバイス」もあり、「まず業界や製品、サプライチェーン全体を理解すること」「『企業はすべて環境に優しくない』と一般化しないこと」など。なるほどと思います。

 日本ではまだ、欧米のように「多くの企業がさまざまなNGOと協働して問題解決を進めている」という状況ではありませんが、企業とNGOとの協働事例も各地で増えつつあります。
 企業とNGOは、立場は違っても(立場が違うからこそ!)協働することで、補強し合い、刺激し合い、視野や考え方を広げ、より効果的な働き掛けを行って、問題解決を進めていけるはずです。

「NGOはコワイ」「NGOってよくわからない」という方も多いかもしれませんが、自社だけでは効果的な取り組みができない時代になってきた今、少しずつでもNGOとのつきあいを始めてみませんか?

 

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