エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2013年12月24日

本当の豊かさについて考えてみませんか

 

 日本は貧困社会? 2013PL.jpg

  皆さんの昨日の食費はどのくらいでしたか?

 全世界では5人に1人、つまり12億人以上が1日わずか1ドルで生活し、1日2ドルの貧困レベル以下で生活している人は20億人以上います。8億5千万人以上が日々の食べ物にも事欠く毎日を送り、そのうち5億人は、慢性的な栄養失調に苦しんでいるそうです。

 世界には栄養失調に苦しむ子供が1億7千万人、学校教育を全く受けることができない子供が1億人以上、中等教育を受けられない子供が2億3千万人います。

 貧困は途上国の話だけではありません。先進国にも、500万人以上のホームレス、3,700万人の失業者が存在します。所得貧困ライン以下の生活を強いられている人々は1億人以上に上ります。

 全世界の消費支出の86%は先進国に住む豊かな20%の人々によるものですが、これに対し、世界で最も貧しい20%の人々が消費しているのは、全体のわずか1%ちょっとです。

 日本は「1億総中流」といわれたように、貧富の差もなく貧困層もあまりいないと思っている人が多いのですが、実情はそうではありません。

 国民の所得の中央値(所得の低い額から順番に並べた時にちょうど真ん中の額)の半分未満の所得しかない、つまり国民の大多数の人よりも貧しい人々の割合を示す相対的貧困率を見ると、*OECD加盟国30カ国のうち最も高かったメキシコ(約18.5%)、2番目のトルコ、3番目のアメリカに次いで、日本は4番目(約15%)でした。

 日本は、先進国の中でも4番目に貧困率が高い国になってしまっているのです。

 

膨大な食品が捨てられている

  日本は、先進国の中でも食料自給率が非常に低い国です。6割以上は海外からの輸入に頼っているのです。その一方で、食料全体の3~5割に当たる2,200万トンの食べ物を毎年捨てています。このうち500~800万トンはまだ食べられるもので、この量は日本で年間に生産される米の量とほぼ同じです。

 世界の廃棄食品の現状を見ると、世界中で人が消費するために生産された食料の約3分の1が失われ、捨てられ、その量は年に約13億トンにもなるそうです。

 農作物を生産する過程で捨てられるものもあれば(豊作で畑に山積みになって捨てられている野菜などを見たことがあるでしょう)、加工や流通の過程で廃棄されるものもあります(期限切れなどで大量の食品がスーパーやファストフード店から廃棄されていますよね)。私たちの台所でもたくさんの食品が捨てられています(買い過ぎた、作り過ぎた、いつの間にか傷んでしまった......身に覚えがない人はほとんどいないのでは?)。

 先進国のフードロスの主な原因は、

(1)農家などでの安全を期した生産計画による必要量以上の生産

(2)スーパーマーケットの生鮮品に対する高い「外観品質基準」

(3)産業化された食品加工ラインでトリミングされた部分や、生産ラインでの腐敗が原因での廃棄、加工中の手違いで最終生産物の重量・形あるいは外見的な不良品、包装の不具合

(4)小売店での大量陳列と幅広い生産物・銘柄産品の供給による、販売期限切れ

(5)豊かさのため、人々が簡単に食料を捨てる余裕

 一方、途上国の場合は、

(1)食料を未熟のまま収穫

(2)貧弱な貯蔵施設やインフラの不備

(3)安全でない食料品(食料自体に自然に生成される毒素、汚染された水、農薬の危険な使用、獣医薬品の残留成分など)

(4)加工施設の不備・不足

(5)不十分なマーケットシステム(規模が小さく、衛生的冷蔵設備がないなど)

などで、消費者段階で捨てられる食料はほとんどありません。同じ廃棄食品でも、先進国のものは私たちの価値観やライフスタイルを変えることでだいぶ減らせるように思います。

 貧富の差と廃棄食品、あなたはどのように思いますか?

 *OECD=経済協力開発機構

 

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