エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2012年06月15日

選択肢案と示し方 (2012年6月6日掲載)

 

 5月28日の基本問題委員会で、エネルギーミックスの選択肢案ができました。今回の焦点は言うまでもなく、電源構成です。
 
 選択肢は
(1)「原発をゼロにしていく」(今のまま再稼働させないのも、再稼働して2030年にはゼロにするも、再稼働させて40年廃炉+新増設ナシで減らしていき、2030年の先にゼロにするのも入ります)。
(2)「40年廃炉+新増設なしで原発比率を下げていき(2030年に15%ぐらい)その先はそこで判断する」
(3)「原発比率を20~25%維持する」
(4)「きちんと外部コストを入れて市場メカニズムに委ねる」の4つです。
 事務局案では「原発比率を35%にする」という選択肢も(あれだけ反対があったのにしぶとく!)残っていました。
 
 3.11前の原発比率は26%で、「原発比率を下げる」ための選択肢を作っているのに、原発比率を上げる選択肢はあってはならないという反対が強く、最後には「参考値」扱いとなりました。
 
 この委員会の役割は、エネルギーミックスを「決める」ことではなく、「選択肢を出す」ことです。そういう点では、当初の数字の羅列ではなく、大きな方向性(原発をなくしたいのか、減らすが残したいのか、いまは決めがたいので後で決めることにするのか)という、よりわかりやすい選択肢になったと思いますが、どうでしょうか?
 
 このいくつかの大きな方向性について、これからみんなでどうしたいのか、それはなぜなのか、そのときのプラスとマイナスは何なのか、マイナスを減らすにはどうしたらよいのか、を考えていくことになります。

 委員会の最後に、「選択肢案はまとまりましたが、その示し方は別ですよね? どう提示するかは今後の議論ですね?」と釘を刺させてもらいました。経済や家計への影響をどう計算し、どう示すか、価値判断を含むような誘導的な表現が残っていないかなど、「示し方」についてはまだまだやるべきことがあります。
 
 例えば「バランスのとれたエネルギー構成」と聞くと、「それは良さそう!」と思いませんか?
この表現は事務局案の原発比率20~25%という選択肢の定義にあったものですが、価値判断が入る可能性のある表現なので、変えるべきと発言し、「多様で偏りの小さい」となりました。(前よりマシです)

 このように、それぞれの選択肢の説明にどのような表現を使うのか、選択肢の比較のために、特に国民生活への影響についてどんな数字をどのように示すのか(数値だけなのか、グラフで示すのか、2030年時点の違いだけを示すのか、そこまでの長期トレンドの中に位置づけて示すのか、などなど)は、私たちが選択肢をどう考え、判断するかに、大きな影響を与えます。
 
 示し方についてもしっかり見守り、考え、意見を述べていきたいと思っています。

 

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