エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2011年04月19日

今、私たちがすべきこと (2011年4月1日掲載)

 

 今回の震災・原発事故は、私たちがいかに脆弱な基盤の上で、暮らし・経済・社会を営んでいるのかをまざまざと痛感させるものでした。

 震災後、「今、私たちにできること、すべきことは何でしょうか?」とよく聞かれます。
 義援金を送ること、救援物資を集めること、できるかぎり、節電・省エネをすること…。いろいろできること・すべきことがあります。
 そして、1つではなく、さまざまな情報を得ること。自分で判断するための枠組みを作っていくこと。人に話してみること。いろいろな人の考えに耳を傾けてみること。自分で考えること。
 さらに、中長期的に最も大事なことは、この状況下で、私たち一人ひとりが「どういう日本であってほしいの?」を心に描くことだと思うのです。

 日本が地震国であり、これからも大きな地震の可能性と共存しなくてはならないことは変えられません。
 でも、この悲劇を繰り返さないために、「どういう町だったら安心して暮らせるの?」「日本の社会をどういうエネルギーで動かしたらよいの?」と、こうあってほしい暮らしや町づくり、エネルギーや経済・社会のあり方を描くことはできます。

 エネルギーにしても社会の構造にしても、いまのあり方であり続ける必要はない。いまのあり方は、これまでのさまざまな思いや動きの帰結に過ぎないのですから、みんなで描けば、きっと「ありたい日本」に向かって進んでいくことができる。私はそう思うのです。

 特に「これからのエネルギー」はとても大きな課題であり、またチャンスでもあります。平時にはなかなか動かない、既得権益や前例主義に凝り固まった構造も、どんな時にもしなやかに強い日本を希求する民意のうねりがあれば、大きく変えられるチャンスです。
と同時に、「望ましいエネルギーの姿」のために必要なものも明らかになりつつあります。

 今回は発電量の低下に伴う「計画停電」の指示が出されています。
 でも、「今この管内での発電量は?」「使用量は?」「よって、余裕があるのかないのか」がリアルタイムでわかれば、みんなで「計画節電」ができます。
 この機能は最近ヤフーが提供を始めましたが、本来ならエネルギー業界がやるべきことでしょう。
「自社の売り物はガスだ」「ガス器具だ」と思い込んでいませんか?生活者が本当に求めているものがわかっていますか?

 もともとピークオイルや温暖化対策を背景に、「エネルギーのあり方の大変革」がこの時代の基調です。今回の原発事故はその流れを大きく加速しつつあります。
 一人ひとりとして、そして事業者として、「今何をすべきか」を考えつつ、先手を打って動くことが求められています。

 

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