エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2007年08月29日

mitigation/ adaptation

 

 地球温暖化の進行に伴い、さまざまな影響が日本・世界の各地から報告されています。地球温暖化による影響を軽減するために取り組まなくてはなりませんが、この対策は大きく「mitigation」と「adaptation」という2つに分けられます。

 mitigationとはmitigate(軽くする、和らげる)の名詞形で、「緩和策」と訳されます。地球温暖化の主な原因である温室効果ガスの排出を減らし、大気中の温室効果ガス濃度をこれ以上増やさないことで温暖化の進行を抑制しようとする取り組みです。

 大気中に排出する温室効果ガスを減らさない限り、温暖化が進んでしまいますから根本的な対策といえるでしょう。

 しかし、緩和策はその効果が表れるまで時間がかかることが多く、加えて温室効果ガス排出量を大きく削減するためには、エネルギーをはじめ社会インフラなどを大きく変える必要があることから、費用も高くつくといわれます。

 もう一つのadaptationは、adapt(適応する、順応する)の名詞形で、「適応策」と呼ばれます。これは、温暖化が進むという前提で、温暖化する気候に、人や社会・経済を調整・適応させて影響を軽減しようという取り組みです。

 温暖化に伴う気温や海抜の上昇といった症状に対する対症療法的な取り組みとも考えられます。適応策をいくら進めても、温暖化そのものを止めることはできないからです。

 数年前に温暖化の会議で「緩和策と適応策」という考え方の説明を通訳しながら、「適応策を考えることは温暖化すること自体を認めることになる。緩和策だけを考えるべきだ」と思ったことを覚えています。
しかし、地球温暖化のさまざまな兆候が観測されている現在、根治策に取り組みながらも、その効果が表れるまでの時間的遅れを考えると、その間にどうしても進んでしまう温暖化に対する適応策も必要だと思うようになってきました。

 現在でも少しずつ取り入れられていますが、例えば、今後の温暖化を考慮に入れた上で、建物のバルコニーや日よけ、自然換気などを設計し施工することは、実現可能性と効果の大きい適応策です。

 また、温暖化によって渇水など水資源の減少が予測されていますが、節水器具を導入したり漏水管理をすることで、水不足を少しでも軽減できます。ヒートアイランド現象の悪化に対し、風の道を確保するなど建物の配置などを考えて設計することも適応策の一つです。

 予測される温暖化の影響のすべてに適応策が可能なわけではありませんが、温暖化が既に起こっている以上、温暖化した気候の中で社会・経済を維持するための適応策を進めつつ、しかし目の前の解決策だけに資源を投下するのではなく、根本的な緩和策である温室効果ガス削減を強力に進めるというバランスがいっそう必要となってきます。

 

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