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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2016年06月21日

夢も、希望も、命も奪う。そんな児童労働から子どもを救いたい!(2016.06.21)

大切なこと
 

谷川俊太郎さんの詩に、胸を突かれる思いをしました。

「そのこ

 そのこはとおくにいる。
 そのこはぼくのともだちじゃない。
 でもぼくはしっている
 ぼくがともだちとあそんでいるとき
 そのこがひとりではたらいているのを」

谷川俊太郎さんがこの詩を書き下ろしてサポートしている団体ACEは、「夢も、希望も、命も奪う。そんな児童労働から子どもを救いたい!」という思いで活動をしています。
http://japangiving.jp/p/4280#summary

クラウドファンディングにチャレンジしているACEの代表・岩附由香さんが書かれた文章を、ご快諾を得て、ご紹介します。

写真や図表などはぜひウェブからご覧ください。
http://japangiving.jp/p/4280#summary

~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~

夢も、希望も、命も奪う。そんな児童労働から子どもを救いたい!

●日本で誰も見向きしなかった「児童労働」問題

こんにちは、ACE(エース)代表の岩附由香です。突然ですが「児童労働」という言葉を知っていますか?児童労働は15歳未満の義務教育修了前の子どもの労働、15歳~17歳の危険有害な労働を指します。いずれも、世界的に国際法で、また各国内の法律でも禁止されている労働です。しかし、世界にはいまだ1億6800万人(2013年国際労働機関発表)もの児童労働者がいます。

私は大学3年の時訪れたメキシコで子どもに物乞いされ、子どもたちが家族を支えるため働かなくてはならず、学校に行けない現状があることを知りました。大学院1年生の時に、世界100か国以上、1000団体以上が参加する「児童労働に反対するグローバルマーチ」を日本で実施する団体がどこもないことを知り、ACEを立ち上げ、これまで18年間活動を続けてきました。

●「助けられなかった命」もある。難しい問題でもある。でも、解決策はある。

インドのコットン生産地で出会った女の子がいます。大量に農薬を使うコットン畑で働き、病気を抱えていました。働くのをやめられないか家族と話しましたが、危険な労働から引き離すことができず、そのこは亡くなってしまいました。

児童労働は子どもの命に関る問題です。しかし、国も、地域も、家族も、子どもの健康や教育の優先順位を高められず、「貧しいのだから仕方がない」とあきらめ、子どもたちの貴重な命、可能性がないがしろにされています。これは社会的にも大きなロスです。

子どもを安く働かせることで利益を得ている人もいるため、この問題を根本的に解決するのはとても難しいのは事実です。しかし、この18年間の活動で、1,520人の子どもを危険有害な労働から守り、13,123人の教育を支援した現地プロジェクトの経験から、児童労働は適切に取り組めばなくすことができることを学びました。

●6月12日は児童労働反対世界デー。この時だからこそ、「想い」を形にしたい

解決に向けての課題のひとつは、児童労働の問題自体が知られていないことです。6月12日に児童労働反対世界デーを迎えるこの時期に、より多くの方に知ってもらい、共にアクションを起こしてほしいと願い、6月30日までの300万円目標のクラウドファンディングに挑戦します。

このクラウドファンディングを通じ、私たちが解決に必要と考える①子ども・コミュニティへの直接支援、②児童労働フリーな製品の実現、③アドボカシーの3つの活動で、1人でも多くの子どもを救うエコシステムを実現したいと思います。

目指すのは、昨年9月に採択された国連「持続可能な開発目標」に明記された「2025年までに世界の児童労働を終わらせる」という大きな夢を、現実のものにすることです。

その一歩として、2016年5月に、2014年ノーベル平和賞を受賞し、ACEの生みの親でもあるカイラシュ・サティヤルティさんを日本に招き、G7教育大臣会合でのスピーチ、シンポジウム、パーティー等を通じ児童労働の現実を多くの人に伝えることができました。

●日本の小さなNGOができるだけ多くの子どもを救うために何ができるか

2001年のサッカーボールの児童労働のキャンペーンがひとつの転機となりました。5歳からボールを縫っていたソニアさんが来日し記者会見で「サッカーボールは大人が正当な賃金をもらって作ったものを使ってください。子どもは教育を受けるべきです。そのためにどうか協力して下さい」と語ったのです。

児童労働は「途上国の子ども」の問題ではなく「知らずに児童労働によるもの使っている私たち」の問題でもあると悟りました。

キャンペーンの反響が大きく、ボランティアベースで活動を続ける難しさを感じ、ACE事務所を2004年に設立、2005年にNPO法人化しました。

限られたリソースで、最大限のインパクトをもたらすにはどうしたら良いか考え、2007年には児童労働の人数が最多のインド、児童労働の割合が高いアフリカで、児童労働が最も多い農業分野の中で、コットン産業、カカオ産業に焦点をあて、現地と日本をつないだ解決モデルを広げる戦略を立案。現地調査、プロジェクト実施、企業との連携を進めてきました。

●私たちは知っています。動けば変えられるということを。コミュニティ支援で子どもたちの可能性が花開いています

インドのコットン産業では約42万人、ガーナのカカオ産業では約100万人の児童労働が報告されており、子どもの健康、教育に大きな影響を及ぼしています。

インドのテランガナ州ナガルドーティー村では村の3分の1の子どもは児童労働をしていました。そのひとり、マヘシュエリさんは親の借金の返済のために朝9時から6時まで炎天下の中コットン畑で働いていましたが、紆余曲折を経て、女の子のための職業訓練コースに参加、読み書きと縫製を習い自尊心を取り戻しました、この「ピース・インド」プロジェクトは現在近隣の2村を対象に活動を続けています。

ガーナのアシャンティ州クワベナアクワ村出身のゴッドフレッド君は、朝から晩までカカオ畑で働いていましたが、ACEの「スマイル・ガーナ」プロジェクトにより学校に復学し、中学校を卒業、郡で一番の成績で高校入試にも合格、奨学金をえて「医者になる」夢に向かって勉強を続けています。2010年に来日し、児童労働者だった頃の気持ちを語ってくれました。

マヘシュエリさんのエピソード:http://acejapan.org/info/2013/07/10379
ゴッドフレッド君のエピソード:http://acejapan.org/info/2011/01/2471

●児童労働のないエコシステムを「みんな」でつくる

ACEのプロジェクトはいずれも現地のパートナー団体を通じ、地域のボランティアの協力を得て実施。子どもと家族の声に耳を傾け、行政と連携し学校環境を改善、住民の経済的自立を助け、プロジェクト終了後も児童労働がない状態が持続できる「仕組み」をつくっていきます。

インドのナガルドーティー村ではプロジェクト終了前に住民が寄付を募って学校に机といすを寄贈してくれました。ガーナではプロジェクトが実施された4つの村で「子どもの権利を守るための条例」が制定されました。こうしてプロジェクトは住民主体の継続的活動へと根付いていきます。

児童労働が起きる要因は貧困や教育環境に課題があるコミュニティだけにあるのではありません。経済のグローバル化で企業は世界中からモノを調達し製品を作っていますが、その元をたどっていくと実は原料に児童労働の問題がある可能性があります。つまり、企業のビジネスと、それを消費する消費者の行動が、無自覚に児童労働を含む経済の仕組みに加担してしまっているのです。

●「そのこ」の未来のために、私たちができること~ACEの3つの答え~

児童労働がない状態を続けていくためには、そのビジネスの在り方、消費者の意識そのものを変えなくてはならない。そのような意識から、ACEが支援した地域で採れたカカオからフェアトレードチョコレートの製品化を実現したり、消費者に気づいてもらうための映画や教材を作成したりと、日本でも企業・消費者を巻き込む活動を展開してきました。またこれまで児童労働ネットワークを通じ児童労働取り組み強化の署名を170万以上集め、政府に働きかけを続けています。

①子どもとその家族を支援し、児童労働のないコミュニティを作ること
②児童労働に加担しない消費、生産の仕組みを作り出すこと
③政策、世論を変え、この問題の優先順位を上げること

この3つがどれも必要だというのが、私たちACEの18年間の児童労働への取り組みの結果たどり着いた、現時点での結論です。このクラウドファンディングでいただく想いは、ACEの3つの活動を通じて、子どもの笑顔へと変わります。ご支援をお願いします。

ACE代表 岩附由香

児童労働をしている「そのこ」をがいることを、伝えてください

日本を代表する詩人、谷川俊太郎さんがACEのために書き下ろしてくれた児童労働の詩があります。
「そのこ
「そのこはとおくにいる。
 そのこはぼくのともだちじゃない。
 でもぼくはしっている
 ぼくがともだちとあそんでいるとき
 そのこがひとりではたらいているのを」

学校に行くのが当たり前の子どもたちと、働くのがあたりまえの子どもたち。同じ地球上に、こんな格差が生まれてしまっています。

どの国に生まれても、どんな親が育てていても、遊んだり、学んだり、笑ったりする権利が子どもにはあります。その権利を守る責任が、私たちおとなにはあります。

「そのこ」の未来キャンペーンでは、この詩にあるような子どもたちのことを伝え、寄付で活動を応援いただくお願いをしています。ムービーをご覧いただき、多くの人に伝え、一緒にアクションを起こしていただけたらありがたいです。

https://www.youtube.com/watch?v=2Iw-oAYD7T0&feature=youtu.be
「そのこ」の未来キャンペーン 

●予算使途の内訳

いただいたご寄付は、ACEが現在進めている下記事業に活用させていただきます。
①子ども支援事業(ピース・インド プロジェクト(コットン産業)、スマイル・ガーナ プロジェクト(カカオ産業)を通じた児童労働のないコミュニティ作りの実施費)
②ソーシャルビジネス推進事業(児童労働フリーの製品の実現と、エシカル消費の推進)③アドボカシー事業(政府への働きかけ、国際会議への参加、世論喚起)

~~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~

グローバル化し、サプライチェーンが長く複雑になっている現在の経済・産業の仕組みの中では、私たちのだれもが、意図せずに、知らないうちに、児童労働に加担してしまっている可能性があります。

難しい問題だからと言って目をつぶらずに、何かを買ったり食べたりするときに、「これはどこでだれがどうやって作ったものかな?」とちょっと思いを馳せることだけでも、違いを生み出す力になります。

ACEの岩附さんたちのクラウドファンディング、児童労働に従事している「そのこ」をひとりでもふたりでも減らすべく、今月末までに300万円を集めようと頑張っています。

自分自身では活動できなくても、活動している人たちを支えることはできます。私もそう思って応援しています。ぜひ応援していただけたらうれしいです。

夢も、希望も、命も奪う。そんな児童労働から子どもを救いたい!

 

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