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2011年10月21日

エネルギー基本計画 (2011.10.21)

エネルギー危機
新しいあり方へ
 

私が参加している総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会をはじめ、いくつかのトラック(?)で、原発・エネルギー政策の中長期計画を見直す作業が進んでいます。大きく3つあります。

(1)内閣府の原子力委員会:原子力政策大綱の改定作業を開始

(2)関係閣僚らによるエネルギー・環境会議が続いている

(3)総合資源エネルギー調査会(事務局:経産省):エネルギー基本計画の見直しに向けて、基本問題委員会が始まる

この「エネルギー基本計画」、これから何度も出てくると思うので、カンタンにおさらいしておきましょう。

現在のエネルギー基本計画はこちらにあります。
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihon_mondai/001_s01_02.pdf

●背景2002年6月に「エネルギー政策基本法」が制定されました。

基本方針は、エネルギーに関する
・安定供給の確保
・環境への適合
・市場原理の活用
です。

少なくとも3年ごとに改定されることが法律に定められているため、2007年3月に第一次改定が、2010年6月に第二次改定が行われました。

●「エネルギー安全保障」が重視され、その5要素として以下が挙げられています。
・自給率の向上
・省エネ・エネルギー構成や供給源の多様化
・サプライチェーンの維持
・緊急時対応力の充実

●「2030年に向けた目標」として5点挙げられています。(1)エネルギー自給率(現状18%)及び化石燃料の自主開発比率(現状26%)を倍増→自主エネルギー比率を70%へ(現状38%)

(自主開発比率:日本企業が参画する国内外の権益からの引取量の割合)

(2)電源構成に占めるゼロエミッション電源(原子力+再生可能エネルギー)を70%(2020年には50%以上)へ。(現状34%)

・原子力の新増設:少なくとも14基以上(2020年までに9基)
・原子力設備利用率の引き上げ:90%(2008年度60%)(2020年までに85%)
・再生可能エネルギーの最大導入

(3)家庭部門のエネルギー消費から発生するCO2を半減

(4)産業部門では、世界最高のエネルギー利用効率の維持・強化を図る

(5)エネルギー関連の製品・システムの国際市場で、日本企業群が最高水準のシェアを維持・獲得する

★そうすれば
エネルギー起源CO2は、2030年に90年比30%削減へ

●第3章 目標実現のための取り組みで「再生可能エネルギー」については、以下が挙げられています。

(1)固定価格買取制度の構築
(2)系統安定化対策
(3)導入支援策
(4)技術開発・実証事業等の推進
(5)規制の見直し・緩和
(6)個別対策の推進
  ・持続可能性基準を踏まえたバイオ燃料の導入促進
  ・熱利用の拡大
  ・バイオガスの利用拡大

このうち(1)のための法律がこの間成立したのですね。(実施は2012年7月1日からの予定です)

昨年、このエネルギー基本計画を作るプロセスで、ヒヤリングがあり、私も意見を述べる機会がありました。そのときの発言録、資料、音声は、こちらにあります。
http://daily-ondanka.com/edahiro/2010/20100408_1.html

余談ですが、そのとき「今のエネルギー基本計画のイメージはこうじゃないですか?」と示した

> 「原発 イケイケ、
>   石炭 ガンガン、
>    再エネ チョロチョロ」

しばらくギョーカイで流行っていたとか。。。(^^;

さて、このエネルギー基本計画は昨年できたので、本来なら次の改訂は2年後なのですが、東電福島原発事故を受けて、菅前首相が「白紙からの見直し」を指示し、来年夏をめどに、作り直すことになっています。そのためのインプットを提供するのが、「基本問題委員会」の役割となっています。

今回改めて、エネルギー基本計画を読み返して、自分の今の関心から、特にアンダーラインを引いたのは、以下の箇所でした。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

第2章 第3節 政策手法のあり方
政策の遂行に当たっては、その実施に伴う受益と負担の関係を、国民にわかりやすい透明な形で明らかにし、国民や事業者の理解と信頼を確保することが重要である

第1章 基本的な視点
7.国民との相互理解

新たなエネルギー需給構造や社会システムへの転換は、エネルギーを利用する国民や事業者の意識や行動様式の変革なくして進まない。また、様々な政策措置については、我が国のエネルギー需給の現状や必要な施策の効果や負担について、積極的に国民に情報を提供し、理解と信頼を獲得しながら進めていくことが不可欠である。新たなエネルギー社会を「国民と共に創る」という視点に立ち、エネルギー政策に関してよりきめ細かな広聴・広報・情報公開等を進めていく必要がある。

第3章 第9節 国民との相互理解の促進と人材の育成
1.国民との相互理解の促進

2030 年に向けた新たなエネルギー需給構造や社会システムの実現は、エネルギーを利用する国民や事業者の意識・ライフスタイルの変革を伴うものであり、「国民と共に創る」視点が重要である。また、原子力発電の推進や低炭素社会実現に向けた様々な政策措置については、我が国のエネルギー安全保障や地球温暖化問題の現状、施策の効果及び必要な国民負担について、国民の理解と信頼を獲得しながら進めていくことが不可欠である。このため、これまで以上にきめ細かい広聴・広報・情報公開を推進するとともに、エネルギー教育や知識の普及に努めていく必要がある。国はこうした取組を効率的・効果的に実施していくため、地方公共団体・産業界・非営利団体等の関係者との連携に努めることが重要である。

(1)エネルギー広聴・広報・情報公開の推進国は、国民各層との間で様々なレベルできめ細かい対話やコミュニケーション等の広聴活動を強化する。また、エネルギー政策に関する広報活動についても、国民の目線に立って、エネルギー問題に対し国民一人一人が参画の意識を持ち実際の意識や行動の変化につなげていけるような効果的な取組を強化する。

加えて、国民に対する説明責任を全うするとともに、国民がエネルギーに対する理解と関心を深めることができるよう、エネルギーに関する分かりやすい広報及び積極的な情報公開に努める。その際、国民の信頼を損なうことのないよう、科学的知見やデータ等に基づいた客観的な情報の提供・公開に努める。

第3章 第10節 地方公共団体、事業者、非営利組織の役割分担、国民の努力4.国民の努力

国民は、エネルギーの需給や政策の在り方が国民一人一人の社会生活を方向付ける重要な問題であることを認識しつつ行動する必要がある。国民は、エネルギーの使用に当たり、エネルギーが貴重な資源であることを意識して自らのライフスタイルを不断に見直し、その合理化や再生可能エネルギーの活用等に努める。また、エネルギーの需給や政策の在り方に関心を持ち、それらの構築に参画するとともに、国民合意の下に方向付けられたエネルギー政策の実施を通じ、新たなエネルギー社会を切り拓いていくことが期待される。(後略)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

今回の基本問題委員会がすべてネット中継で公開されることは、大きな一歩だと思いますが、上記がうたっている「国民とのきめ細かな対話」はまだ存在していません。せっかく委員に加えてもらったので、このギャップを少しでも埋めたいと思っています(具体的な提案をしようと思っています)。またご協力をお願いすることが出てくると思いますが、ぜひ力を貸してください!

WWFジャパンがとてもわかりやすいエネルギー基本計画についての動画を作っているので、ご紹介します。7分と短いので、ぜひどうぞ。

> なぜ今、エネルギー基本計画を変えることが重要なのか、多くの方々
> に知っていただくため、着目ポイントを簡単に解説する動画を制作いた しました。
http://www.wwf.or.jp/activities/lib/vtr/20111004.html

また、先日、日経新聞のサイトに、滝解説委員によるインタビューがアップされました。よろしければご覧ください。

エネルギーの将来、立場超えた論議を 環境ジャーナリストの枝広氏に聞く
編集委員 滝順一
http://www.nikkei.com/tech/ecology/article/g=96958A90889DE1E7E2EBEBE0E0E2E0E4E2EBE0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;p=9694E2E4E2E7E0E2E3E2E3E7E5E7

明日、札幌で、みんなのエネルギー・環境会議が開催されます。私もコーディネータとして参加します。

Ust中継、ニコ動中継もありますので、ぜひのぞいてみてください。
Ust:http://www.ustream.tv/channel/meec-live
ニコ動:http://live.nicovideo.jp/watch/lv67655945

○みんなのエネルギー・環境会議 札幌
「これからのエネルギー」のこと、考えるために
日 時:2011年10月22日(土)13:00-18:15(開場12:30)
会 場:自治労会館5階大ホール(札幌市北区北6西7)

≪みんなのエネルギー・環境会議について≫これまで、国民の多くはエネルギーがどこからきているかをよく考えることなく、これを使ってきました。 3・11を受け、これからは一人ひとり自分のこととしてエネルギーのことを考えていこう、エネルギー政策も国民の想いや気持ちを反映した形で作ってもらおう、そんな想いから「みんなのエネルギー・環境会議(MEEC)」が立ち上げられ、第1回が7月31日に長野県茅野市で開催されました。

また9月10日には「みんなのエネルギー・環境会議 京都」が開催されるなど、各地域の自発的な開催が進められています。みなさま、ぜひお誘いあわせの上、ご参加ください。
ウェブサイト http://www.meec.jp/ 

登壇者:(五十音順 敬称略)
     飯田 哲也(環境エネルギー政策研究所所長)
     上田 文雄(札幌市長)
     枝廣 淳子(幸せ経済社会研究所所長)
     小林 基秀(北海道新聞社編集局報道本部編集委員)
     斉藤 哲夫(一般社団法人日本風力発電協会企画局長)
     澤 昭裕(国際環境経済研究所所長)
     澤田 哲生(東京工業大学原子炉工学研究所教授)
     鈴木達治郎(原子力委員会委員長代理)
     鈴木 亨(北海道グリーンファンド理事長)
     吉岡 斉(九州大学副学長)
     吉田 文和(北海道大学大学院経済学研究科教授)
     ※その他、電力会社、電力事業専門家に登壇打診中
プログラム:
     (開場12:30)
     ・開会 挨拶 13:00
     ・セッション1 13:15〜15:15
     〜原子力・エネルギー政策〜
     「あたらしい」エネルギー基本計画はどうあるべきか?
     ・セッション2 15:30〜17:30
     〜再生可能エネルギー〜
     日本と北海道の自然エネルギーは増えるのか?何が必要か?
     ・まとめ(質疑含む) 17:40〜18:15
     登壇者等、最新情報はこちら↓↓↓
     http://www.h-greenfund.jp/info/20111022.html

来年1月には「みんなのエネルギー・環境会議 広島(meec@広島)」の開催の計画が進んでいます。ご興味のある方はこちらをご覧ください。
http://blogs.dion.ne.jp/m_ochiai/archives/10415445.html

若者による「みんなのエネルギー・環境会議」を開催しよう!という企画も動き始めているようです。全国あちこちで、いろいろなグループや立場の方々が、「みんなでエネルギー・環境について話し合う場」がどんどん広がることを願っています!(私たちもやりたい!という方、ぜひご連絡くださいね)

 

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