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レスター・ブラウンコーナー|エコ・エコノミー指標
【1】年間8,000万人増加する世界人口

ジャネット・ラーセン

世界の人口は2002年には62億人に達した。2001年から1.3%、約8,000万人の増加である。第二次世界大戦後、医療の進歩と死亡率の低下に伴って、人口は飛躍的に増加した。世界人口の年間増加率は1970年前後に2.1%のピークに達したが、1999年までには1.3%に低下している。世界全体でみれば人口増加スピードは鈍化しているが、国ごとの増加率には大きなばらつきがあり、世界の人口総数は増えつづけている。

グラフ:1590年〜2000年までの世界人口の推移と、3通りの増加率予想に基づいた2050年までの世界人口予測


欧州20カ国と日本の出生率は少なくとも25年間、人口補充出生率(女性一人あたり、子どもが2.1人)を下回っている。現在では出生率が人口補充水準を下回る国は44カ国にのぼる。開発途上国からの移民による人口増加は年間200万人と予想されるが、それを除けば、多くの先進国の人口は早期に減少に転じるだろう。

一方、約50億人の人口を抱える開発途上国の多くでは、人口は急増し続けている。出生率の低下が予想されてはいるものの、2050年までには開発途上国の人口は82億人に達する見込みである。世界の年間人口増加数の半分は、次の6カ国によるものである。インド(1,600万人)、中国(900万人)、パキスタン(400万人)、ナイジェリア(400万人)、バングラデッシュ(300万人)、インドネシア(200万人)。

後発開発途上国に分類される48カ国の人口増加のスピードはさらに勢いがある。現在の増加傾向が続くならば、これらの国の人口を合計すると、21世紀半ばまでに約3倍に(6億5,800万人から18億人に)増加するだろう。きわめて出生率が高い(女性一人あたり子ども7人以上)16カ国には、アフガニスタン、アンゴラ、ブルキナ・ファソ、ブルンジ、リベリア、マリ、ニジェール、ソマリア、ウガンダ、イエメンといった国々が含まれる。

出生率が中程度の国(平均して女性1人あたり、子どもが2.1〜5人)では、2050年までに人口補充出生率を下回ることが予測されている。インドやパキスタン、韓国、エジプトがこのグループに入る。急激な人口増加によって社会経済的目標を達成することが困難になるということを、いち早く認識した国々である。人口が急増すると国内で最も肥沃な地域に人が集中するために、社会の供給力と自然の供給力の両方が限界に近づいてしまうことに、これらの国は気づいたのである。

効果的な避妊方法の普及が人口の増加スピードを抑える鍵であるにもかかわらず、世界中で350万人ほどの女性は、家族計画について知る手立てがいまだにない。まだ満たされていない家族計画の需要に応えることができれば、人口増加は3分の1ほども抑えられるだろう。この数は、開発途上国における意図しない妊娠の数(推測)から出てきたものである。

出生率と、女性の教育・雇用水準とは反比例する。女性の受ける教育年数が増えるほど、子どもの数は減るのである。家族計画教育の存在を男女に知らしめ、このような教育サービスを手軽に、しかも慎重に使えるようにすることができたら、将来の世界の人口と貧困は大いに減らせるだろう。政府が支援する家族計画のプログラムは、性と生殖に関わるヘルスケアだけでなく、全般的な健康管理との関わりを深めつつある。一人あたりの所得の高さや乳幼児死亡率の低さ、そして都市化や産業化もまた、出生率を下げる役割を果たしうる。

1994年にカイロで「国際人口・開発会議」が開催され、参加各国は、人口および出産医療の20年計画を実行するための基金の創設に同意した。途上国がその基金の3分の2を拠出し、援助国が残りを拠出するという計画である。年間支出総額は2000年までは170億ドル、2015年までで220億ドルに上るだろうと見込まれていた。

ところが、途上国の大半が負担分を払ったにもかかわらず、援助国からは割当額の3分の1しか集まっていない。この不足が原因となって、家族計画指導と教育サービスは期待されていたほどは広まっていない。調査によると、1994年から2000年の間に約1億2,200万人の女性が意図しない妊娠をしているという。うち3分の1が中絶をしている。加えて、意図せざる妊娠をした女性のうち、6万5,000人が出産時に死亡し、84万4,000人が、妊娠が原因で慢性障害あるいは不治の損傷を負ったと推定されている。

エイズ(HIV/AIDS)のような伝染病は、罹患率、死亡率の上昇や出生率の低下をもたらし、予測人口を減少させる。エイズはアフリカを中心とした多くの国の人口データを変えつつある。ボツワナでは成人の36%がHIVウィルスに感染しており、平均寿命が70歳から36歳へと急激に低下した。 2015年のボツワナの全人口は、エイズが存在しなかった場合と比べ28%も少なくなると予想される。平均寿命は、ジンバブエでも43歳、南アフリカで 47歳まで低下した。

現在、世界人口の半分近くの人々が都市部に住んでいる。こういった地域は人口密度が高く、病気が広がりやすい。しかし同時に、行政や地域が意志をもって取り組めば、密集した人口を生かして医療ケアや教育などを効率的に提供することも可能になる。

今後30年で増加する人口のほとんどは、都市部に吸収されると考えられる。何世紀にもわたって農村部から都市部への人の移住が続き、先進国では人口の4分の3が都市部に住むようになった。途上国も同様の道をたどりつつある。途上国で都市部に住む人口の割合は、1950年には18%であった。これが 2000年には倍以上の40%となり、2030年までには56%に達すると見られている。2030年には世界中の人口の60%が都市部に暮らすことになる。

世界人口の3分の1近くは、14歳未満の若年層である。この史上最大の若年層グループが現在、あるいはもう間もなく生殖可能な年齢に達しつつあり、人口増加にさらに拍車をかけようとしている。医療の発達により、かつてないほど寿命が延び、世界全体で高齢化がすすんでいる。現在、60歳以上の人口は世界全体で6億600万人を超えるが、2050年には20億人に達する見込みだ。

国連による2050年時点の人口予測では、最も急増した場合の予想109億人と、最も低い予想79億人とでは、現在の人口の半分ほどの差がある。(別表データ参照)

世界の水と土地の供給量が限られたなかで、予測の高い数字か低い数字か、世界人口がどちらに向かっていくのかということは、環境と社会の持続可能性に対して他のどの要因よりも大きく影響を与えるだろう。

参考データ:
図表 1 世界人口と年間増加数の推移 1950年〜2000年
図表 2 1950年〜2000年までの世界人口の推移と2050年までの世界人口予測
図表 3 世界で最も人口の多い国上位20カ国 2000年
図表 4 人口2千万人以上の国の出生率 2001年

http://www.earth-policy.org/Indicators/indicator1.htm

和訳:小林紀子、江口絵理、山本夕佳、田中美穂、丹下陽子、浜崎輝、森由美子、伴昌彦、横内若香

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