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| 【4】縮小する森林被覆面積 |
ジャネット・ラーセン 世界の森林被覆面積は、地球の健康状態を示す主な指標である。手付かずの森林は栄養分を循環させ、気候を調整し、土壌を安定させ、廃棄物を処理し、生き物のすみかを提供し、レクリエーションの機会を提供する。このような働きには、控えめに見積もっても4兆7,000億ドル以上の価値がある。これは世界総生産の10分の1に相当する額である。森林はまた、食糧、薬、さまざまな木製品等などの供給源でもある。
世界の森林被覆面積は約39億ヘクタールであり、南極とグリーンランドを除く全陸地面積の約3分の1に当たる。広大な面積だが、この森林面積は農業が始まったおよそ1万1,000年前の半分にすぎない。森林のほとんどは原状をとどめておらず、構成や質が変わってしまっている。 森林の定義が統一されていないことや、衛星・レーダーによるデータの欠如、土地利用の変化が観測されていないことなどから、世界の森林被覆面積の変化を推定するのは困難である。国連食糧農業機関(FAO)の控えめな推定でも、20世紀の最後の10年間で、世界全体で9,400万ヘクタールもの森林面積が失われたことになる(別表データ参照)。この数値は、開発途上国で1億3,000万ヘクタールが失われた一方、先進国では放棄農地が森林に再生されたため、3,600万ヘクタール増加したと仮定している。この期間に、伐採と人工造林への転換などにより、年間1,600万ヘクタールの天然林が失われた。その94%が熱帯での損失である。 1990年代にブラジルは最大の森林喪失―2,300万ヘクタールを計上した。南米全体の純損失面積は3,700万ヘクタールに達した。アフリカでも5,200万ヘクタールの森林が破壊されたが、スーダン、ザンビア、コンゴ共和国での損失が、この森林損失面積の半分を占める。一方、米国では森林面積が400万ヘクタール増加したが、メキシコでは600万ヘクタール以上減少した。メキシコ政府の報告書によると、損失面積はさらに大きいとの見方もある。北米と中米全体での純損失面積は600万ヘクタールだった。 中国では大規模な森林再生プロジェクトの結果、同じ期間に、森林が年平均180万ヘクタールずつ増加した。'90年代末にとられた伐採禁止等の措置が、国の人工造林や輸入林産品への依存を高めたことが奏功したのである。インドネシアでは、その期間、伐木により1,300万ヘクタールの森林が破壊されたが、その後も森林の喪失には拍車がかかり、現在では毎年平均200万ヘクタールもが失われている。'90年代に、アジア全体の森林被覆面積は400万ヘクタールも減少したのである。 FAOのデータによると、世界の森林喪失には歯止めがかかりつつあるものの、熱帯地域の伐採は加速しており、おそらく年間1,300万ヘクタールを超える森林が失われている。世界の多くの地域で伐木のペースが上がっているため、残された森林の半分近くが危機に瀕しているのだ。世界資源研究所の予測によると、今のペースで森林破壊が進めば、世界の手付かずの森林の約4割が、遅くとも今後10~20年のうちに失われてしまうだろう。 木材の消費が森林の減少を促している。1960年以降、世界の木材生産量は1.5倍に伸び、15億立方メートルに達している。これは原生林と二次林の樹木の5分の4に当たる量だ。また、発展途上国では毎年、それとほぼ同量の18億立方メートルが、薪として燃やされている。 伐採から保護されている森林地は、世界全体で約2億9,000万ヘクタールにすぎない上、保護区でさえ違法開発に脅かされている。生物学的多様性に富んだ世界中の200地域のうち、65パーセントが違法伐採の危険にさらされている。結局のところ、違法伐採が世界の公有林を荒廃させ、持続可能な森林管理に投資しようという地元住民の意欲をそぎ、行政には年間約150億ドルもの減益をもたらし続けているのだ。 現在、人工林は1億8,700万ヘクタール以上に及んでいる。これは全森林地の5パーセントにも満たないが、世界における現在の木材生産量の2割にあたる広さだ。荒廃したり、保護の対象となる天然林が増すにつれ、今後ますます多くの木材需要が人工林でまかなわれることになるだろう。 十分に計画・管理された人工造林は、効率的に木材の需要を満たすことができる。残念ながら、世界の多くの地域では、原生林や多様性に富んだ天然林を犠牲にした人工造林が行われている。場合によっては、政府が伐採業者に、代替木の植林を条件に森林の利権を与えることもある。しかし、伐採業者は、皆伐後その土地を裸地のまま放置して、別の場所に移動してしまうのだ。例えば、インドネシアでは、900万ヘクタールが産業木材用人工造林地として開発されるはずが、再植林されたのはわずか200万ヘクタールであった。 もともと森林に備わる生態系と、それに付随する生き物の居住環境を奪われたエリアは、土壌を安定させたり、栄養分を循環させたり、さらには浸食を防いだりする植物を失っている。これらの土地は、あっという間にその効用を失い、逆に厄介な存在となってしまう。たとえ人工造林が行われていたとしても、単一種の人工造林の機能は、原生林のそれとは比較にもならない。さまざまな樹齢の多様な植物がそれぞれ固有の生物学的役割を果たしているからだ。したがって、そのような単一種の人工造林により、生態系のプロセスが変化するのも当然である。 国連環境計画がNASAおよび米国地質調査所と共同で行った、衛星を利用した調査によると、(林冠閉鎖度が40パーセントを超える)ほとんどが手付かずの森林の8割が、15カ国に集中しているということが分かった。主な閉鎖林地域の88パーセントは、人があまり住んでいないため、森林保護の対象として期待が寄せられている。伐採の一時的な全面停止を要求するのは難しいにしても、これら15カ国において閉鎖林を保護することは、森林保全の妥当な第一歩となろう。 世界の天然林の喪失を抑えるために重要なのは、貴重な木材を燃やさないよう、低所得国のための代替エネルギー源を見つけることである。再利用やリサイクルのやり方を刷新することで、再生材や古紙が木製品の需要を満たすことができる。新規木材の消費を減らすことが、世界の森林資源を守るための鍵である。 木製品の使用において、各国政府は、国内産および輸入木製品のすべてが森林管理協議会(FSC)のような厳しい環境および社会基準を満たす、責任を持って管理されている森林に由来するものであることを確認できる。世界中のFSC公認機関・団体が、これまでに45カ国にある約2,400万ヘクタールの森林の認定を行った。認定木材への需要が高まる一方で、認定を受けていない販売業者が苦戦している状況を見ると、その数は今後増えていくに違いない。 |
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参考データ: 和訳:小林紀子、長澤あかね、伊藤智子、山田はるみ、小野寺春香、藤津ふみえ、酒井靖一、古谷明世、五頭美知 |
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