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| ユング心理学のアプローチで考えてみよう(2009.02.26) |
まえにもご紹介した「本当の幸せと持続可能性を考える」連続講座、第3回まで終わったところです。第3回は私が講師役となって進めました。 最初プレゼンテーションから一部を抜粋してご紹介します。 ~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~ 特に今日は、私のバックグラウンドから、心理学を一つの切り口として使ってみようと思っています。 ユング心理学という分野があります。精神分析といえばフロイトが一番有名ですが、フロイトの弟子の一人だったユングという人が、フロイトとまた違った精神分析、心理療法の分野を開拓しました。 日本では、河合隼雄先生が有名です。しばらく前に亡くなってしまいましたが、インターネットで検索すると、たくさんの本が出てきます。私は、河合先生の本がとても好きで、皆さんにもお勧めしたいです。 ユング心理学ってどういう位置づけにあるのか、スライドにあるように、私なりに少しまとめてみました。フロイト以前から、精神的にもしくは心の問題を抱えている人たちに対する治療をおこなう「心理療法」がありますが、いくつかの段階・分野が展開してきたと考えられます。 一番最初にあったのは「告白」というものです。たとえば牧師さんに、自分のした悪いことを告白する。自分の中で抱えていたら、それがいろいろな悪さをするけれど、口に出すことで――「カタルシス」と言います--、問題は解決するという、考え方がありました。初期の精神分析はこれに割と近い感じです。 次が「解明」です。そこで語られたことがどういう意味なのかということを分析して、その人に伝えていく。それによって、「私がこういう行動してしまうのは、こういう理由なのか」ということをわかっていくことで、治していくとアプローチです。もっともなかなかそれだけでは治らないケースもたくさんあるんですね。 その次に「教育」です。アドラーという、これもやはりフロイトの弟子だった人ですが、特に教育に力を入れた心理療法を始めています。 ユングはそういった中でいうと「変容」、つまり、その人のあり方そのものを変えていく、変わっていくというアプローチが中心です。 ユング以前の多くの心理療法では、「患者さんの症状をいかになくすか」を考えていました。たとえば、ヒステリーを起こすとか、閉じこもっちゃうとか、躁鬱が激しいとか。そういう症状をいかに治すかということが中心でした。夢分析したり心理分析をしたりして、その症状をなくし、「社会に適応させる」ことを目的として、主に治療していたわけです。 それに対してユングのスタンスは――私がユングがどうして大好きなのか、きっとだんだんわかっていただけると思うんですが、「治療者が患者を治す」というのではなくて、治療者も含めて、人格が成長していく。そういう一つの過程に治療者も参加するんだという考え方です。「私、治す人、あなた、治される人」ではなくて、私もあなたも一緒になって変わっていくという、それがユングのスタンスなのです。 このへんがまた、私の大好きな「システム思考」にも重なるんですが、いま言ったように、外から治すのではなくて、自分もそのシステムの、つまり患者さんと治療者もまたシステムをつくるわけで、その一部としていろいろ動いたり、考えたり、悩んだりしていくということです。 (中略) 私が非常にユングに惹かれていて、環境問題を考える上でも、ユングの心理学を一つの基礎にしたいなと思っているのは、ユングが「心の全体性」を重視しているからです。 たとえば「補償」という考え方があります。私たちには意識と無意識がある。意識ではカバーできないものを、無意識が実はカバーしている。意識で生きていない自分を無意識が生きようとする。「意識のバランスを取るような動きを無意識はする」--それを補償と呼びました。意識と無意識がバランスを取り合って、一つの心の全体性を保つことができる。 意識というのは、ある一面に向かいやすいけれど、それに対して無意識は、バランスや調整を図ろうとする。その調整しようとするときの動きが、往々にして不適応というような問題として表れることがある。そういうふうに考えます。 ですから、何らかの心の問題があった場合に、それを「問題」というよりも、何らか行き過ぎた意識を引き戻す、もしくはバランスを取るための「補償」ではないか?と考えるわけです。 もう一つ、ユングの非常に大事な考え方が「影」です。これは、私たちの意識が否定してきたもの、意識によって生きてこられなかった部分です。その人の意識にとって、それは受け入れることができないものなんですね。隠したいとか、認めたくないとか、そういったものが「影」になっていきます。自分自身の暗い、認めたくない側面と言ってもいいかもしれません。ユングは「影」を非常に大事に考えていました。 「コンプレックス」という言葉はよく使われますが、実はユングが中心的に言い始めたものです。いま、私たちが使うコンプレックスと、もともとユングが言っていたコンプレックスはちょっと意味が違います。私たちがコンプレックスと言うときは、「劣等感」のことを言いますよね。劣等感に限らず、ある感情的なまとまりになっているものをコンプレックスと言っています。劣等感という意味でまとまりになっているものを、「劣等感コンプレックス」と言うんですね。そればかり有名になって--実はアドラーという人がそれをたくさん取り上げたので、「コンプレックス=劣等感」と思っている人が多いのですが、劣等感はコンプレックスの一つにすぎません。 たとえば、皆さんでもあると思いますが、何となく虫の好かない人っていますよね。何だかよくわからなけどむっとするとか、いらいらするとか。それは、その相手の何らかが、自分のコンプレックスに触っている。というふうに、ユング心理学では考えます。自分が受け入れたくないとか、生きてこなかった、もしくはそういった否定したい何か。でも、自分の中にある何かをそこに見て、むっとするわけですね。そのように、感情的に何かもつれというか、あるまとまりになっているものがコンプレックスです。 それは、あることは異常ではなくて、誰にでもあります。それをどういうふうに生きていくかというのが大事なポイントなんですね。 ユングは、人間の心として「4つの基本的な機能」という話をしています。「思考」と「感情」という軸、それから「直感」と「感覚」という2つの軸があり、それぞれの機能があります。 ただ、人によって得意な機能と不得意な機能があります。不得意な、あまりちゃんと分化、使いこなせるようになっていない、まだ未分化なものを「劣等機能」と呼びます。それは人によって違います。非常に思考が発達しているけれど、感情が未分化な人もいるし、また逆の人もいる。 大事なのは自己実現――ユングの場合、「個性化」という言葉をよく使うんですが、それぞれの自分になっていく過程という意味ですね、それはいま言った、影の部分とか自分の劣等機能を統合していく過程だとユングは考えます。自分の中の生きてこなかった部分、自分の中のまだ未分化で上手に使えない、そういうものを統合していく。それが自分らしさをつくっていく自己実現であり、個性化だということです。 (中略) このような考え方で、ユングの心理学を一つのベースとして考えるときに、「なぜこうなったのだろう?」というふうに、過去に原因を求めるのではなくて、「これは何のためにいま起こっているのだろう?」と考える。そういうスタンスになるんですね。 たとえば心理的な問題があった場合、フロイトはそれを過去の、たとえば小さいときの体験とか、性的ないろいろなコンプレックスとか、過去の何かに原因を求めまする。「それはなぜ生じたのか?」と分析していくわけですね。どんどんさかのぼっていきます。 それに対して、ユングの考え方は「それは何を未来が伝えようとして、こういった出来事が起きているのか?」です。未来からいまを見るという視点で、ユングは考えていきます。 最初に、このような話をしたのは、今日はぜひ皆さんに「何で生じたんだろう?」「何でこうなっているんだろう?」ではなくて、「未来は私たちに何を伝えるために、いまこのような出来事を起こしているんだろう?」という視点で考えてほしいなと思ったためです。 では、最初のグループでのワールドカフェスタイルでの話し合いの時間を始めましょう。先ほどのユングの視点で、つまり過去を分析するのではなくて、未来からの視点で考えてみましょう。 いま、さまざまな問題がありますよね。私たちが関心を寄せている地球温暖化の問題、そのほかの環境問題、経済危機の問題、派遣切りの問題など、いろいろな問題が起きています。なぜいま、このような問題が起きているのか。未来が私たちに何を伝えようとしているのか?、それをグループで話し合ってもらいたいと思います。 ~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~ みなさんもこんな視点でちょっと考えてみませんか? この最初のプレゼンテーションでは、ほかにも「シンクロニシティ」(共時性)などについても説明し、物事や出来事を単に表層で見て、簡単な因果律で理解した気になる自分を抑えて、ふだんとはちょっと違うものの見方で考えてもらいました。 みなさんの話し合い、グループからの発表、私からのコメントのあと、ふたたび私からまとまったプレゼンテーションをして、その中から「どうやったら幸せの物質化/脱貨幣化が進められるか」をグループで話し合ってもらいました。 参加者にとっても、もちろん私にとってもとても興味深く学びのある時間となって、とても面白かったです。 どんな感じだったのか、この日の「講座アンケート」から、引用許可をいただいたものからご紹介します。 ~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~ ●立ち止まって考えることができました。ユングやマズローの心理学や考え方のフレームは、個人やビジネスに対して使ったこともありましたが、人類と地球のような大きなフレームに使えることを改めて知り、モノスゴクためになりました。また、問1、問2など、参加した方々とポジティブな会話ができたことも非常によかったです。GDPと幸せのデカップリングという考え方も非常にためになりまました。 ●「どうすれば脱物質化/脱貨幣化を進められるか」というテーマは面白かった。これからもまた考えていきたい。 ●自分がもやもやしている問題について適切なラベルがつけられると、スッキリして、問題を考える上で先に進めるような気がしますが、今日のお話はそういうキーワードに富んだ話でした。「都市型コミュニティ」の類型やさまざまな取り組みについて調べ、自分ができそうなことを考えてみます。 ●日ごろ、何となく考えていたことを、深く深く掘り下げて考えることができました。自分の幸せ、人の幸せ、社会の幸せ。それらが現在起こっている「問題」と裏表のようにつながっているように感じました。ほかの人の考えを聞くのも、自分の考えを深めることにつながりました。シンクロニシティが起こりまくりで、 ●「カフェ」スタイルがよいのか、「来ている人たち」がよいのか、とても楽しい雰囲気で学べるのが何よりもよいと思います。 ~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~ 私たちのセミナーやワークショップのほとんどで、ワールドカフェ方式という学びや気づきを深めるための対話の手法を採り入れています。とっても効果的で、一方通行のレクチャーの時代には戻れないほどです。(^^; でも、これは実際に参加してみないとどのようなものかわかりにくいのですね。。。どうやってお伝えしたらよいのだろう?と思っていたら、今回の受講生のおひとりが「ブログにこの日の様子を書きました」と教えてくれました。ありがたいことにご快諾をいただけたので、ご紹介します。 ~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~ 梅の花も盛りを過ぎました。いっぱい花びらが舞っています。 そして、今夜は寒い? あったかい?なんて気にしつつ、夕方からいそいそセミナーに出かけています。 その後、枝廣さんの主催する講座http://www.es-inc.jp/のテーマに惹かれ、ちょこちょこ参加。始めは、籠っていた私にとっては、リハビリみたい。 今回は「第二回目 本当の幸せと持続可能性を考える(全4回)」という講座に参加しています。毎回、ゲストのお話を伺い、その後、カフェスタイルでの対話を行います。2時間半の会ですが、このパターンにすっかりなじんでしまいました。 ゲスト講師のお話は、「そうか~」と発見あり、共感あり。知識だけでなく、お人柄がわかり、本を読むのとは違った事を学ばせていただきます。その後、参加者とあーだこーだと自由な雰囲気で話すと、いやぁ、そんな事も考えられるのですね、とびっくりすることも。同じシルエットが違って認識されるような、皆が同じようには見たり感じたりしないのですよね。 その後の1週間は、そのテーマについて思いめぐらす時間が多くなっています。 昨夜はユング心理学を学んでこられた枝廣さんの講義でしたが、示唆に富んだもので、とても面白いアプローチでした。 そこで私たち参加者に課せられたお題は「現在のさまざまな問題は、いったい何のために起こっているのだろうか?」です。 テーブルで一緒になった4名は、「経済格差」、「温暖化」、「派遣切り」など「さまざま問題」って何だろう?と語り合い、それが「いったい何のために起こっているの?」という事に話しを進めました。 問題の「原因」を過去に遡って探る(因果律)のではなく、この問題が起こるのは「未来は私たちに何を伝えようとしてこのような出来事が起こっているのか?」という問いかけに変えていくわけです。 学校に行かない子どもの問題の原因を探らず、子どもに関わる人、親、友、教師などそれぞれが、上記の問いを自分自身に向けたらどうなるでしょう? あるいは、子ども自身がその問いを発したらどうなっていくでしょう?私の腰痛は私に何を伝えようとしているのか? と問うてみるのも面白いものです。 そうやって皆でおしゃべりをしていると、“健康な”私たちは、それぞれに元気なエネルギーが湧いてきます。話している内容が、経済崩壊やら難題であっても! です。 この不思議な力は、理屈で明快に答えることはできないようなことなんですが‥‥。 こういう講座を私はとても楽しんでいるし、自分の信念を勇気付けられるようで、参加するのを楽しみにしています。もっと、たくさんの人とこのような話ができたら、それが社会を明るくしていけるに違いない! と信じている私です。 みんなで“じょうずな”おしゃべりができる場であるカフェを開いて行く意義を感じ始めています。 ~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ワールドカフェ方式については、ぜひまたまとめてお伝えしたいと思っています。 そして、今回の講座、あー、受講すればよかった!と思われた方(^^;)、これからでもぜひどうぞ。 今週金曜日が最終回ですが、今からでもご参加いただけます(参加できなかった回の内容は、音声ファイルと資料をお届けします)。通信会員のシステムもありますので、世界のどこからでもご参加いただけます。 第4回は、NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長 反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠氏にお話を聞き、「日本を幸せを創り出せる社会にするため」には何が必要なのか、私たちはどう考えていくべきかを考えていきます。 せっかくの機会ですので、ぜひ多くの方にレクチャーを聞いていただき、考えて、話し合って、持ち帰って、活かしていただければ、と願っています。 ~~~~~~~~~~~~~ここからご案内~~~~~~~~~~~~~~~~ 「本当の幸せと持続可能性を考える」連続講座(全4回)のご案内 ●日時:2月6日(金)/13日(金)/20日(金)/27日(金) ●会場:こどもの城 906研修室(JR渋谷駅徒歩8分、メトロ表参道駅徒歩7分) ●内容: ●受講費:30,000円(全4回分) ○通信会員 ○お申込み ■「本当の幸せと持続可能性を考える」連続講座(全4回) ご氏名 [ ] ※この講座をどこでお知りになったか教えていただけると幸いです。 =================================================================== ○お問合せ:
湯浅さんのお話、とても楽しみです。そして、その後、自分たちに引きつけ、「わがコト化」して考えていくプロセスであるワールドカフェの議論も。ぜひごいっしょに~。 そして、「環境問題の解決に心理学のアプローチを使っていきたい!」は、私の長年の念願なのですが、少しずつ勉強しつつ、お伝えする取り組みが実現してきて、とってもうれしいです。(今も私の机の上には心理学の教科書が8冊ぐらい積んであります、、、時間をちゃんと確保して、もっともっと勉強しなくちゃ!) |
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