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| 新刊『地球とわたしをゆるめる暮らし』が出ました(2008.11.14) |
さまざまな心の問題が、社会のあちこちに顕在化してきています。環境問題もメンタルの問題も、教育やその他の社会問題も、「構造的にますます加速する世界や世の中のペースに、生物としての私たちの体や心がついていけなくなっている」「立ち止まって大事なことを考えることもできない」ことが大きな原因なのではないかと考えています。 温暖化問題に対しても、「CO2の少ない低炭素社会に変えていこう」という根本的な対策(緩和策)と、「当面の温暖化の影響を少しでも受けずにすむよう、工夫しよう」という適応策があるように、この「加速し続ける社会のペース」という問題に対しても、「社会のペースを落としていこう」という根本的な取り組みと、「当面加速してしまう社会のペースに、自分自身がやられてしまわないように自己防衛する」という適応策が必要です。 社会のペースを落とすための働きかけのひとつとして、「100万人のキャンドルナイト」や「スロームーブメント」、「ブータンのGNHをきっかけに、本当の幸せを考える」などの活動を展開してきました。 でも、社会が方向転換してペースを落とすまえにも、加速するペースに体や心を痛める人々がたくさん出ているようすを見ることはツライことです。自分の身を自分で守ること、つまり、加速する社会の中でも、自分を「ゆるめる」ことができるスキルが必須だ--と思っています。 (ちなみに、私は集中すべき時は集中しますが、意識して「ゆるめる」こともやっているため、スケジュール的には忙しそうに見えても、ストレスもほとんどなく、あまりカッカしたり落ち込んだりせずに、省エネ型(?)で淡々と暮らしていられるのだと思っています) 社会の構成員である私たち一人一人が、「集中」と「ゆるめる」メリハリを自分でつけられるようになり、社会や他人のペースに翻弄されるのではなく、忙しい中でも、自分のペースは自分でたづなを握って制御することができるようになれば、社会全体のペースも加速をやめることでしょう。社会って、私たち一人一人からできているわけですから! そんな思いで、加速する社会のペースから自分の体と心を守るために、そして、社会全体のペースダウンにつながる小さな一歩として、「自分をゆるめる」ことの大事さ、そして、自分が日々の暮らしでちょこっとやっていることや気をつけていることを中心に、たとえばどんなふうに「自分をゆるめる」ことができるかというヒントやきっかけを載せて作っていた本が、昨日発刊されました。 『地球とわたしをゆるめる暮らし (Slow down,enjoy more)』 「はじめに」と「目次」をご紹介します。 よろしければぜひ手にとってごらん下さい。ご自分にも、まわりの忙しすぎて疲れてしまっているお友だちやご家族、会社の人たちへの「心配しているよー」というメッセージを込めたプレゼントとしても、お役に立てたらうれしいです。ぜひどうぞ~。 ~~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~ はじめに
こんなことを感じているあなたは、いつもネジをまかなきゃいけない、「ゆるめられない病」にかかっているのかもしれません。ひょっとしてあなたは、「時間をかけちゃいけない」と思っていませんか? たとえば、いつもできるだけ効率よく、お金や結果に結びつく行動をする。 現代は、言ってみれば「加速する時代」です。 そうして、狭い範囲で短期的にしか物事が考えられなくなってくると、わかりやすい単一の基準ですべてを判断するようになっていきます。 こうして、大事なことや長期的なことを十分に考えられなくなってくると、自分自身と地球とのつながりに思いを馳せたり、未来世代のことを考えたりすることもできなくなります。これが、温暖化をはじめとする地球環境問題が深刻化している根本的な原因だと私は考えています。 自分と地球とのつながりを感じたり、未来世代に思いを馳せたりすることができれば、地球を傷つけるようなことはしないはずです。 しかし、そのつながりが切れてしまっているため、自分が何をやっても、まるで地球には何の影響も及ぼさないかのように、各人や各国が自分の好きなように振る舞ったり、経済を無限に成長させようとしたりしています。 その結果、人間は地球が吸収できる量の二倍以上の二酸化炭素を出すようになり、温暖化が進んでいるのです。 では、どうすれば大事なことを考えたり、感じたりする時間を生み出せるのでしょう? それこそ加速するのをやめて、ゆるめることです。 もちろん、「いつものんびりしている」ということではありません。集中度を上げて効率よく仕事をする時間と、ゆるめる時間のメリハリをつけるよう、自分の手綱を自分で握るということなのです。 ゆるめることができれば、先のことまで考えられるようになります。いま自分がやっていることが、子どもたちや孫たちの世代に与える影響についても考えることができるでしょう。 「不効率だ、不経済だ」と言われて切り捨てられていた大事なことにも、手をかけられるようになります。 「手をかける」ということは、そこに時間の経過を盛り込むということ。 ゆるめることは、さぼることではありません。しなやかな強さをつくり出す大事なことなのです。 竹を考えてみてください。強い風が吹いたり、重い雪が降り積もったりしたとき、竹はしなることで折れるのを防ぎます。そして、風が行き過ぎ、雪が落ちれば、また元のまっすぐな姿に戻ります。 もし竹が一瞬もゆるめることなく、硬直して立っていたら、強い風や重い雪にポキンと折れてしまうでしょう。竹はちゃんと、自らをゆるめることを知っているのです。 私たちにとっても同じこと。 常に張り詰めた状態で走りつづけるのではなく、ときにはゆるめて、しなる――そのメリハリがつけられれば、生きることがラクになり、何があっても生きていける力も生まれます。 人生は短期戦ではありません。山あり谷ありの長期戦です。 ゆるめられる人は、短期的にはおくれを取って見えることがあったとしても、長い人生を通してみれば、ずっと効率的かつ効果的に生きていくことができます。 人は、昔からこのことを知っていました。 ところがいまはどうでしょう? 次々とやってくる締め切り、あちこちから押し寄せる課題や問題、グローバル経済や金融不安など、さまざまな不安やプレッシャーに、私たちはみな常に張り詰め、緊張し続けています。 「これでは長期的にもたない」とうすうす感じつつも、「いまは無理をしてでも何とかしなければならない」という状況に陥りやすい時代なのです。だとしたら、「自分をゆるめる」ことは、自分で意識してやらなくてはなりません。 ゆるめることができるようになると、心が動くようになります。 心が動く瞬間こそが、「生きている」と実感する瞬間です。 大事なものとのつながりに思いを馳せたり、ゆっくり考えたり試してみたり、短期的な結果よりも長期的に大事なことを重視したりするようになれば、温暖化をはじめとする環境問題も解決に向かうと私は信じています。 世の中のペースは、すぐにはゆるむことはないでしょう。ますます加速する可能性があります。 本書では、毎日の暮らしの中で、ちょっとしたきっかけでできる「自分をゆるめるヒント」を五五挙げました。ほかにも、自分なりの「ゆるめるヒント」をぜひ探してみてください。 年がら年中だらりとゆるんでいる状態が理想ではありません。いったん自分をゆるめてしまったら、元には戻れなくなるのではないかと心配する人もいます。自分に対する自信のなさから、ゆるめることを自分に許していない人もたくさんいます。 でも、人間は本来、必要なゆるめる時間がとれれば、またシャッキリと立ち上がり、駆け出すことができるようになっています。もし、いまそれができないとしたら、それほどにまで張り詰めているのでしょう。 ネジをギューギューと強く締めすぎると、ゆるめられなくなってきます。さらに締め続けると、ネジは壊れてしまいます。そんな状態になる前に、自分で自分をゆるめるコツを身につけることです。 あなたもぜひ、スピードと効率で走っていく時間と、身も心もゆるめてしなやかな強さを養う時間とのメリハリを自分でつけられるようになってください。そのきっかけづくりに本書が役立つとすれば、これ以上、うれしいことはありません。 枝廣淳子
目次 はじめに 第一章 暮らしをゆるめる 第二章 心をゆるめる 第三章 頭をゆるめる 第四章 地球をゆるめる おまけのページ
本書は、『地球のために私にできること』を出してくれた大和書房の編集長と担当してくれた編集者と3人で、都内を離れ、海の見るゆったりした時間の流れるスペースで、次の本の打ち合わせをしていたときに、誕生しました。 最初は別の本の打ち合わせだったのですが、ブレスト的にいろいろ話をしている中で、私がいつも思っていた「ゆるめる」ことの大事さに触れたとき、きっと「ゆるめる」ことがサバイバルスキルであることを実感しているのであろう編集長が、「それを本にしましょう!」と。(^^; そうして、数々の「自分をゆるめられる時空」でアイディアをふくらませ、こうして本になったこと、とてもうれしいです。 当面、さまざまな世界的な危機などがやってきて、人々はますます近視眼的に刹那的になり、世の中のペースはますます加速していくことでしょう。ますます大変になっていきそうですが、自分のたづなを自分で握っている限り、乗りこえて(かいくぐって?)いけるでしょう。そのためにも、「ゆるめるスキル」をぜひ身につけてください~。
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