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| 「不都合な真実」-世界を変え損ねた男の新たなる戦い~ハンディ版『不都合な真実』出版されました(2007.06.27) |
ウェブサイトの「エダヒロの本棚」に、最近次の本を追加しました。 『NHKスペシャル 気候大異変―地球シミュレータの警告』 「なぜ100年後の地球の姿を予測するのかと聞かれます。重要なのは、100年後に生きている人たちがどんな気候に住むかを決めるのは、100年後に生きている人たちではないということです。いま生きている私たちがどういう行動をするのかにかかっているのです」--温暖化は進行しているの? このまま進むと地球の未来はどうなるの? 最新のスーパーコンピューターが描き出す変貌する地球の姿。その意味や対応について考えさせられるビジュアルブックです。 この本を書かれた国立環境研究所で温暖化の研究にあたっている江守さんが「地球環境研究センターニュース」に昨年末に掲載された記事を送ってくれました。温暖化の研究者としての、頭にも心にも響く記事でしたので、お願いして転載を許可していただきました。 「アル・ゴアの映画・本に描かれた温暖化は、科学的に妥当なものなのか?」という疑問にも答えてくれます。ぜひどうぞ!(※メールでの読みやすさのため、改行を入れさせてもらっています) 地球環境研究センター 温暖化リスク評価研究室長 江守 正多
2004年の大統領選ではほとんどその名前を聞くこともなかった。良くも悪くも真面目な男というのが専らの評判である(ちなみに、筆者はここでつい岡田克也・民主党元代表を思い出してしまう)。大統領選では、相手陣営のネガティブキャンペーンの影響もあろうが、この真面目さが「人間的魅力に欠ける」というマイナスイメージとなり人気が伸び悩んだ印象がある。 しかし、思い返せば、あのときフロリダ州の集計システムが仮にあとほんの少し近代的だっただけで、世界は今と180°違うものになっていたはずなのだ。ゴア大統領は、国内産業界の猛反発に会いながらも、アメリカの京都議定書目標、-7%の達成に躍起になっていたに違いないし、京都議定書後の国際枠組みの議論にもアメリカが積極的に参加し、他国もその流れに乗らざるを得なかっただろう。だが、過ぎたことをあれこれ言っても仕方が無い。 ともあれ、映画「An Inconvenient Truth(邦題:不都合な真実)」は、この一度は世界を変え損ねた政治家アル・ゴアの、新たなる挑戦を描いたものだと言ってよいだろう。大統領選敗北の失意の中から立ち上がったゴアが選んだ道は、米国各地を始め世界を行脚して地球温暖化の「真実」を人々に説いてまわることだったのだ。以前からも行っていたその講演の回数は、通算で1000回以上に上るという。 映画は、この講演の内容とその様子をベースに、ゴアがその活動に至るまでのエピソードや心理描写が各所に織り込まれる形で進行するドキュメンタリーである。全米では5月に封切られるや、わずか77館の限定公開ながら6月にはトップ10入りを果たし、上映館数を増やしながらヒットを続けているそうである。日本での公開は来年新春に決まった。 ここで、この映画で語られている「真実」の科学的妥当性を検証しておく必要があるだろう(これを怠ると、「江守は懐疑派の問題点は指摘するが、対策推進派の問題点は見逃すのか」というお叱りを受けかねない)。 といっても、ゴアの語る「真実」は概ね妥当であり、指摘すべき点はそれほど多くない。彼はハーバード大学の政治学専攻であるが、科学にも造詣が深く、映画によれば、1960年代の地球温暖化研究の黎明期に、炭素循環研究の祖であるロジャー・レヴェルに直接学んでいる。他にも一流の専門家と直接交流する機会は多いはずだろう。 おそらく、ゴアは世界で最も地球温暖化の科学を正確に理解している政治家の一人である。しかしながら、演出上の都合も含まれるだろうが、何箇所か注意を要する点に気付いたので指摘しておく。 ・気象災害による保険金支払額が最近の数十年で急激に増加しているというグラフが紹介される場面で、説明不足のため、この全てが異常気象の強度・頻度の増加によるという印象を与えている。実際には、資産の増加などにより、同じ規模の異常気象があっても近年の方が保険金支払額が大きくなることを考慮する必要がある。 ・グリーンランドの氷が全て融解して海面が6m上昇した場合の、土地の水没シミュレーションが紹介されているが、時間スケールの説明が無いため、あたかも数十年程度でこの海面上昇が起こるような印象を与えている。実際には、グリーンランドの氷が全て融解するには1000年以上の時間がかかると考えられている。 ・SARSなどのあらゆる病気の発生もしくは感染拡大が地球温暖化と関係があるような印象を与える場面がある。実際には感染過程などに温暖化が関係すると考えられる病気は種類が限られるであろう。 このような問題はあるものの、基本的には、不確実性のある将来予測の話をあまり使わず、事実を中心に伝えようという戦略が見て取れる。もちろん、分かりやすさのため、視覚に訴える映像はふんだんに使用されている。これら全体のバランスを見て「不安を煽っている」と評価するかどうかは人によって意見の分かれるところだろう。 さて、極めて個人的な感想としてであるが、筆者はこの映画を見て、何か心を揺さぶられるような感覚を覚えたことを告白しておきたい。といっても、映画で語られている温暖化の「真実」は、筆者にとってはどれもよく知った事柄であり、その内容に特別な感慨はない。また、ゴアの講演は確かに素晴らしかったが、アメリカ副大統領にまでなった政治家が演説が上手いのはある意味当然だろう。では、筆者の心に届いたのは一体何だったのか。 それは、一言で言えば、ゴアの戦いの「リアルさ」である。彼は、6年前まで世界の権力の中枢に居ながら、温暖化の危機を訴え続けていた。にもかかわらず、彼の叫びは何者かによって手応え無くいなされ、絡め取られ、黙殺され続けた。 世界に大きな影響力を持つその「何者か」とは、とりもなおさず、温暖化の「真実」を「不都合」に思う者たちと等号で結ばれる。これは、よくある被害妄想的な陰謀論ではない。ゴアが実際に戦って敗れた、世界の変革をめぐる攻防の最前線の迫力と、そのグロテスクな実像が映画から浮かび上がってくる。 しかし、この映画こそは、その「何者か」に対して放たれた、確かな手応えのある一撃にほかならない。この映画は温暖化の「真実」を訴えると同時に、それを不都合に思う「何者か」の存在を暴き、糾弾する側面を持っているのだ。この映画がヒットすればするほど、苦虫を噛み潰した表情が次第に険しくなっていく「何者か」の顔が目に浮かぶ。 皮肉にも、ゴアがこの一撃を放つことができたのは、大統領選に敗れ、権力の中枢から降りたことによっている。そして、映画に先立って1000回に及ぶ講演を重ねたという事実が、この映画に魂を吹き込んでいる。明らかに、これはゴアという人物の真面目さのなせる業であり、筆者はそこに彼の有余る「人間的魅力」を感じる。 もしかしたら、この一撃の効果は限定的で一時的なものに留まるかもしれない。しかし、ともかく以前と比較すれば格段に多くのアメリカ人と世界の人々が温暖化に関心を持った。これを足がかりにさらに大きなうねりを作れるかどうかが、次の戦いになるだろう。だが、次はゴア一人の戦いではない。ゴアの講演を聞き、映画を見た大勢の人々が、ゴアと共にある。 果たして、世界は変わるか。
ゴアさんは、『不都合な真実』のあと、2冊の本を出す予定と聞いていましたが、そのうちの1冊が刊行されました。 『不都合な真実 ECO入門編 地球温暖化の危機』アル・ゴア (著), 枝廣淳子 (翻訳) 1,260円
アル・ゴア氏のあたたかな語り口とメッセージを、ぜひ読んでください。お友だちや知り合いにも配りやすい軽さとお値段です。真実を知り、「できることを少しずつでもやっていこう!」という思いと取り組みがうねりのように広がっていきますように。
また、前回の『不都合な真実』の環境グループ用購入キャンペーンに引き続き、今回もぜひ、多くの方に使っていただきたいと思い、勉強会用のパックを用意しました。 『不都合な真実 ECO入門編 地球温暖化の危機』環境グループ用購入キャンペーン 1)『不都合な真実 ECO入門編』環境NGOやグループの勉強会用「5冊パック」 2)『不都合な真実 ECO入門編』環境NGOやグループの勉強会用「10冊+ボーナス1冊パック」
「『不都合な真実 ECO入門編』5冊パック」または、「『不都合な真実 ECO入門編』10冊+ボーナス1冊パック」の「カートに入れる」ボタンを押し、お手続きください。 画面の指示に従って進んでいただき、ご注文者情報、お支払方法などご入力ください。お支払方法によってお支払確認時期が異なりますが、お支払を確認しましたら数日以内にお申込み受付完了のメールを送付のうえ発送時期をご案内いたします。 有限会社イーズ 担当:星野
『不都合な真実 スペシャル・コレクターズ・エディション』 毎年大人気の「apbank fes」、今年は7月14~16日に開催されますが、このなかで、16日に小林武史さんと江守さんとトークをごいっしょさせてもらうことになりました。http://www.apbank-ecoreso.jp/ とっても楽しみです~。 |
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