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| 「地球温暖化防止 企業の戦略的アプローチ:現状を打破する次の一手」 講演録のご案内(2007.05.28) |
アル・ゴアさんの映画『不都合な真実』の日本版DVDの予約が始まりました! 『不都合な真実 スペシャル・コレクターズ・エディション』 先日、丸の内で展開中の「朝EXPO」の一コマとして、「英語で温暖化を語ろう」というタイトルで、ゴアさんの映画や本を題材に、通訳勉強法からのノウハウを織り交ぜて、1時間で、単語を覚える、読む、聴く、話すのすべてについて練習とノウハウを紹介する、という講座をおこないました。 そのときに『不都合な真実』の日本語版DVDを特別にパラマウントからお借りして、教材として使いました。このDVDは、温暖化を学ぶためにはもちろんですが、英語教材としてもとても優れています。 音声も英語/日本語の切り替えができ、字幕も英語/日本語/なし、と選べるので、「英語/字幕なし」でリスニングやディクテーションをしてから、「英語/英語字幕」でリスニングを確認し、字幕を日本語にしてその意味も確認できる、というように、何重にも使えます。 しかも、ふつうの映画と違って、プレゼンテーションをしている場面が多いため、英語は聞きやすく、論理的で、単なる会話ではない勉強ができるのだなー、と改めて感じた次第です。温暖化×英語の勉強に興味のある方はぜひどうぞ! さて、温暖化に関連して、昨年11月におこなったフォーラムの講演録ができています。私が前座としてしゃべった部分は以下に転載しますが、アラン・アトキソンが世界の情勢を、チェンジ・エージェントの小田が企業での対策やその考え方を語っている部分はpdfでダウンロードして、ぜひどうぞ!
加速的に進行する地球温暖化のさまざまな悪影響が、企業にも待ったなしの対策を迫りつつあります。京都議定書で定められた日本の削減目標は2008~2012年の第一約束期間に1990年比6%、先進国全体で約5%の削減目標ですが、その程度の削減では地球温暖化防止は到底かなわないことが明らかになってきました。そのため、欧州では60~75%削減という目標設定を進めている国が増えつつあります。 規制であれ、自主的取り組みであれ、企業への温暖化ガス排出削減への圧力が今後格段に強まることは間違いありません。わが国の企業は地道な努力と改善の積み重ねにより6%削減に向け大変な努力をしていますが、改善的手法だけで対応するのでは限界があります。企業は、温暖化の全体像を把握した上で、今までの取り組みの延長にはとどまらない抜本的な取り組みを迫られることになるでしょう。 このような現状を踏まえ、2006年11月15日、欧米を本拠地に世界各地の政府・企業に持続可能な経営の戦略を指南するコンサルタント、アラン・アトキソン氏を招き、フォーラム「地球温暖化防止 企業の戦略的アプローチ:現状を打破する次の一手」(主催:(有)チェンジ・エージェント、共催:日経BP環境経営フォーラム)を開催しました。 温暖化に対する世界各国の対策、温暖化に関するシステム思考的な分析、そして世界の先進企業の対策の事例をシステム思考の視点から紹介し、おかげさまをもちまして満場のご来場者に高く評価いただきました。 このフォーラムの内容をもとに、PDFでダウンロードしてごらんいただける資料を作成しました。各企業で温暖化対策や社会的責任活動の企画や実施の最前線にいらっしゃる方々にとって、「煮詰まり」解消のお役に立つ内容を盛り込みました。もちろん、温暖化対策はこれからという企業や自治体の方にも活用いただける内容です。 6%の削減は最初の一歩に過ぎません。60%もの削減が求められる時代がすぐにやってくることでしょう。現状の取り組みの手詰まり感を打破し、真に有効な次の一手を考えていくために、ぜひ本誌をお役に立ててください。 取締役会長 枝廣淳子
アラン・アトキソン 持続可能性分野のコンサルティングのグローバル・ネットワーク、アトキソン・グループの創立者・CEO。数々のフォーチュン500企業をはじめ、米国防総省、ラトビア政府、WWFクライメート・チームなど、多くの民間機関、公的機関の戦略アドバイザーを務める。2006年より「地球憲章イニシアティブ」の暫定国際ディレクターを兼務。持続可能性指標分野の世界的な第一人者。主な著書に、『カサンドラのジレンマ 地球の危機、希望の歌』(PHP研究所)がある。スウェーデン在住。 枝廣淳子 心理学を生かし、「自分や人を変える」技術を構築。講演、執筆、テレビ出演などのほか、NGOジャパン・フォー・サステナビリティの設立者・共同代表や、東京大学客員助教授(人工物工学研究センター)としての活動などを通じ、人や組織の「変化のプロセス」の研究・サポートを深める。開発、研修、ファシリテーションを担当するほか、講演、執筆の実績多数。訳書に、『不都合な真実』(ランダムハウス講談社)、 『成長の限界人類の選択』(ダイヤモンド社)、共著書に『地球のなおし方』(ダイヤモンド社)、『なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか? 「小さな力で大きく動かす!」 システム思考の上手な使い方』(東洋経済新報社)など。 小田理一郎 人や組織が自律的に目的を達成する効果的な仕組みをつくるため、2年間の米国留学 で組織変革のスキルを学び、多国籍企業で10年間、製品責任者・経営企画室長として、組織変革の実務にあたる。その後独立。企業の社会的使命の追及と、非営利組織マネジメントの強化のためのコンサルティング経験を生かし、変化のマネジメントのための開発、研修、コンサルティング、ファシリテーション、講演、執筆を担当。共著書に、『なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか? 「小さな力で大きく動かす!」システム思考の上手な使い方』(東洋経済新報社)。
はじめに……… 3
今再び、「箱の中」で考えよう……… 5
温暖化対策が企業の価値を高める……… 15
地球温暖化をシステム思考でとらえるヒント 枝廣淳子
①「ストックとフロー」 1つは「ストックとフロー」です。私たちが大気中に二酸化炭素を排出する一方で、森林や海が吸収してくれています。ここにインフローとアウトフローの関係があるのですが、その結果ストックはどうなっているでしょうか。 年間63億トンの二酸化炭素がインフローとして大気に入ってきます。そのうち、陸上で吸収されるものが14億トン、海洋には17億トンが吸収されます。つまり合計31億トンのアウトフローがあります。インフローのほうがアウトフローよりも大きいので、大気圏のストックとしては増える一方です。アトキソン氏の話にもありましたが、550ppmで止めないといけないのに、どんどん増えている状況にあります。 では、どうしたらいいのでしょうか。ここでクイズです。大気中の二酸化炭素の濃度を、上のグラフのような軌跡をたどって550ppmで抑えるためには、私たちが排出する二酸化炭素の量をグラフに描くと、今後どういうパターンを取らなければいけないでしょうか。 1番目は、上のグラフと同様に、しばらく増加を続けてから安定させる、2番目は現状維持、3番目はしばらく増えた後に急激に下げる、4番目は最初から下げてそのレベルを維持、という形です。大気中の二酸化炭素濃度を図のように安定させるには、4つのうちどれが必要となるでしょうか。 ※クイズ:大気中の二酸化炭素濃度をXXXppmで抑えるには? <グラフ> 私が最初にこのクイズをやったとき、見事に外れました。理工学系の優秀な学生が集まるMIT(マサチューセッツ工科大学)の学生たちでも、多くの人が間違えるそうです。 大気中の二酸化炭素濃度のシナリオを描いた上のグラフとパターンが似ているので、私たちはつい誤解しがちです。実際には、今から急激に排出量を削減しないと、10年、20年先に450~500ppmで安定させることはできません。 これはストックとフローの、システムの構造を理解していないと、なかなか分かりにくい問題です。何となく、まだ増やしてもよさそうな気がしてしまうのですが、実はそうでもないという例です。 ②フィードバック・ループ 2つめの特徴は「フィードバック・ループ」です。あるものごとがつながり、影響し合い、そのために何かが増えたり、あるいは、つながり方によっては、あるところで安定したりするという現象を、ループ図を使って描くことができます。私たちを取り巻く現象は、さまざまなフィードバック・ループが組み合わさることで起きているのです。 たとえば今、地球上の氷が次々に解けています。氷の白い表面が減って黒い表面が増えると、太陽光から地球が吸収する熱が増えていきます。するとそれが原因となって、さらに氷を解かしてしまいます。(「アルベド効果」といいます。) システム思考的にループ図で整理するとこうなります。地球温暖化が進んで氷の表面が減り、太陽光を反射しにくくなるので、さらに太陽熱を吸収してますます温暖化が進みます。それだけではなくて、温暖化が進むと、たとえばシベリアにある、永久凍土というメタンをたくさん抱え込んで凍っている土が解け出します。実際のところ、既にかなり解け出しているそうですが、温室効果ガスであるメタンが出ると、ますます温暖化を促進します。 ③非線形の変化 地球温暖化に関して、このように「ますます」という悪循環がたくさん重なっているのが現在です。そのうちのどれか1つにスイッチが入ってしまえば、次から次へのほかのスイッチも入り、非常に大きな影響を及ぼします。温暖化というと、何となく徐々に気温が上昇するという、直線的な線形の変化のイメージを持っている人も多いでしょう。ところが実際には非常に急激な上昇なのです。システムの3つめの特徴である非線形の変化に、私たちは対応しなければなりません。 ④「時間的な遅れ」 4つめの特徴は「時間的な遅れ」です。たとえば、今すぐに二酸化炭素の排出を止めたとしても、温暖化は急には止まりません。今日出している二酸化炭素は、30年後の気温を決めるのです。地球温暖化に関しては、これだけ大きな時間的な遅れがあります。 もっと身近な例でも考えてみましょう。皆さんの会社でも時間的な遅れがあります。「温暖化を何とかしなきゃいけない」と思って、上層部に通そうとしても、まずそこで時間的な遅れが生じます。会社としていざ「そうしよう」と決めても、それから設備投資をして、実際に二酸化炭素の排出削減に成功するまでには、やはり時間的な遅れがあります。こうした遅れがたくさん重なってしまうと、大きく舵を切るのが遅くなってしまうのです。 地球温暖化はもちろん、気候というシステムの中で起こっています。太陽の光や熱、地球上の氷や地表を取り巻くシステムです。今この温暖化の問題が深刻になっているのは、ご存じのように私たちが二酸化炭素を大量に排出しているからです。二酸化炭素を出しているのは主にエネルギーです。私たちがパソコンで電気を使う、あるいは自動車での移動にガソリンを使う。こうしてエネルギーを使うと、気候システムに影響が出てきます。 ところで、私たちはなぜエネルギーを使っているのでしょうか。ただエネルギーを使いたいから、という人はいないでしょう。さまざまな産業活動のための発電やモノづくりに使っているわけです。では、そもそも産業活動は何のためでしょうか。皆さんの会社はなぜモノをつくり、サービスを提供しているのでしょうか。それは、人々に幸せを届けるためではありませんか。消費者や市民に幸せを届けるために産業活動をし、そのためにエネルギーを使う。それが気候に影響を与えているのです。 このように考えてみると、人々の幸せのために始めたことが原因となって、当初の目的に悪影響が及んでいることに気がつきます。悪循環のスイッチが入って、この悪影響が生まれないようにするため、できるだけ早く温暖化を止めないとなりません。 そうしたときに、ストックとフロー、フィードバック・ループ、非線形の変化、時間的な遅れなど、システムの特徴を踏まえた上で、それぞれの企業や組織で、そして1人ひとりがどうやって取り組んでいけるでしょうか。ぜひそこを考えていきたいし、多くの方に考えていただきたいのです。 ~~~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~ システム思考の視点で温暖化を考えるようになったためでしょうか、「人間が変えられる部分」と、「人間がどんなに祈っても呪っても目をつぶっても変えられない、自然やシステムの物理的な現実」の区別がくっきりとわかります。 システム思考って、一見複雑な物事の本質をとてもシンプルに理解することができるアプローチなのだなあ、と改めて感心するとともに、「厳然たる動かせない現実」があるのですから、動かせる・変えられる部分を早くそちらに合わせていかなくては、との思いを強くしています。 |
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