| カテゴリー:システム思考を学ぶ、最新20件 |
| エコな商品・アイディアを広げるためのマーケティング力・コミュニケーション力を身につけよう(2007.02.09) |
年頭に、IMS(Institute of Marketing for Sustainability:持続可能性のためのマーケティング研究所)を立ち上げて、活動を始めます、と書きました。半年以上まえから、チェンジ・エージェントとともに準備・開発を進めていたその第一弾のワークショップを3月に開催します。 「システム思考でエコな商品・アイディアを広げるマーケティング講座」です。 「いい商品なのに、どうして売れないんだろう」「大切なイベントなのに、なぜ人が集まらないのだろう」「いいアイデアなのに、どうしてみんなわかってくれないのだろう」――このような思いを抱いたことはありませんか? 私はこれまで、企業や行政、NGO、個人の方々から、エコ商品やイベント、プロジェクトにかかわるさまざまな相談を受けたり、実例を目の当たりにする機会を多く持ってきました。さきほどの言葉は、こういった相談で必ずといっていいほど出てくる言葉です。 エコ商品でもエコイベントでもエコプロジェクトでも、私は、「コンセプト」「アピール」「伝え方」という3つの観点から見るようにしています。 小学生の頃に読んだロダンの伝記に、ロダンが「この石のなかに女神がとららわれている。急いで、女神を救い出さねばならない」と、ノミをふるって見事な女神像を彫り上げた、という話がありました。 「コンセプト」がそもそもおかしいまま走ってしまっているエコ商品もあるのですね。せっかくノミをふるっても、ものにならない石を彫ってしまっているようなものです。 たとえば、「森林伐採を減らすために割りばしの代わりに『マイ箸』をつくった。しかし売れない。なぜだろう」という相談を受けたとき、見せていただいた「マイ箸」はプラスチック製でした。森林伐採を止めるために石油資源を使うというコンセプトは、マイ箸を買おうかなというエコ意識の高い人々に受け入れられそうにはありません。 「アピール」とは、コンセプトはいいけれど、「それが欲しい」と思わせる力を持っていないものです。言ってみれば、正しい石に向かってノミをふるっているけれど、ノミの使い方が下手で、とうてい女神とはいえないようなものが彫り上がってしまった、という感じでしょうか。 たとえば、説明を聞くとコンセプトは素晴らしいのだけど、ちょっと人前で使いたくないなーと思うようなカッコ悪い商品とか、とても高すぎて手が出ないとか、そのようなものもあります。 そして最後の「伝え方」。これは、石を美しく彫り上げて女神ができたのに、ぽつんと放置されていて、誰にも見てもらえない、という状況でしょうか。商品でもイベントでも考え方でもライフスタイルでも、エコを広げようと思ったときに、この伝え方に問題がある場合が多いと、私はずっと思ってきました。 こういう状況では、エコ商品を開発したり、イベントを企画した人たちも、「せっかくいいものをつくったのに」「これこそは解決策なのに」「いいアイデアなのに」「どうしてわかってくれない」「どうして売れない」と、もどかしさを感じたり、挫折感やあきらめを感じてしまう人もいます。 ここではっきり認識すべきことは、「アイデアを考えること・モノをつくることと、そのアイデアを伝えること・そのモノを売り込むことは別物だ」ということです。 持続可能性や環境にかかわる活動をしている人たちは、企業であれ個人であれ、環境にいいモノを考えたり開発したり、人々の意識啓発につながるイベントやプロジェクトを企画したり、真摯な思いで一生懸命取り組んでいます。その思いを実際の広がりにつなげていくところが、いまいちばん必要だなあと、何度も痛感しています。 今回の「システム思考で広げるためのマーケティング講座」は、「持続可能性のためのマーケティング研究所」構想のなかの「広げ、うねりをつくるためのアート(技)とスキル」のための講座です。現在のサステナブルな社会をつくる活動で、欠けている大切な部分だと思います。 この「広げるためのマーケティング」に役に立つ理論や考え方、事例やヒントは、すでにたくさん存在しています。 ひとつはシステム思考です。システム思考を活用すれば、システムの構造を見ることで自立的・自律的に広がる仕組みをデザインすることができます。そして、イノベーション普及理論という、そのものズバリの理論や実践も大変役に立ちます。 また、これまで企業などでマーケティングを勉強してこなかった一般の私たちにとっては、基本的なマーケティングのポイントを身につけることも、大切な一歩となるでしょう。そして、戦略的コミュニケーションです。単なるコミュニケーションではなく、伝えるための戦略的なコミュニケーションの考え方やスキルも、すでに研究・実践が行われています。 まず、「マーケター」になりましょう。マーケティングができる人です。その商品やイベントは、世界中の人に買ってもらわなくてもよいはずです。としたら、ターゲットは誰でしょう? そのターゲットへのアプローチは、どのようなものが効果的なのでしょう? そういったターゲットの人々は、何に関心を持ち、何が響くのでしょう? 何を求めているのでしょう? それに、自分の商品やイベント、アイデアは、何を提供するものだと位置づけることができるのでしょう? 「よいものだから、わかってくれるはず」という自分側の論理だけではなく、マーケティングの考え方を使うことで、相手の求めるものを提供するというスタンスを身につけることができます。 組織を変えようとするときにも、地域や一般の人々にアプローチするときにも、いきなり全員にわかってもらうことは不可能です。しかし、戦略的に、誰からアプローチをするのか、順番を考えることはできます。 もしかしたら、もともと、どうしたってわかってくれない人に初めからぶつかって、「どうしてわかってくれないのだろう」と悩んでいませんか? 大きな壁だって、小さな穴から崩れます。その最初の小さな穴は、どこに開けることができるでしょう? このように考えていくことができます。 そして、「プロモーター」になりましょう。販促ができる人です。「いいことだから、いいものだから、わかってもらえるはず」というのは、あまりにナイーブな考え方です。 これまでの私の経験では、エコ商品の開発をしたり、プロジェクトの企画をする人たちは、なぜか伝えることにあまり力を入れていないという印象があります。開発することが関心事で、伝えること・広げることには、あまり関心がないという人たちもいます。または、広げなくちゃいけないとわかっていながら、やり方がわからないという人もいます。 私は、通訳・翻訳という仕事をしてきました。両方とも「伝わってなんぼ」という仕事です。そして実際に仕事のなかで、伝え方次第で、伝わるものには大きな差があること、人を動かす力にも差があることを感じてきました。せっかく素晴らしい女神が彫り上がっているのに、伝え方がうまくないだけで伝わっていないのは、なんてもったいないことだろう、とよく思うのです。 伝えるための大きなポイントは、「伝え手の立場」と「受け取り手の立場」の間を自由に行き来できる能力です。つまり、自分が伝えたいことが、相手にはどのように見えるのか。どういうふうに差し出したら、相手は受け取りやすいのか。両方の立場を自由に行き来することで、相手に受け取りやすい形で、自分の伝えたいことを訴求していくことができます。 私が開発し、提供している「正確なだけではなく読みやすい翻訳力を身につける通信講座『Next Stage』」でも、まったく同じアプローチでトレーニングを行っています。普通、訳者はあくまで原文を見て翻訳します。ところが、翻訳文を読む読み手は原文など関係なく、ただその日本語を読んでいくわけです。 ですから、訳者の立場を一度離れて、読み手の立場に立って自分の訳文を見ること、読み手の立場から自分の訳文を練り上げていく力が、とても重要なのです。『Next Stage』では、そのためのトレーニングを繰り返し繰り返し行っています。 それと共に、同じことを伝えるのでも、伝え方の幅に柔軟性を持たせる力が大切です。たとえば同じことを、社長や取締役会で伝えるのか、職場のまわりの人々に伝えるのか、若い女性のグループに伝えるのか、高校生の男の子たちに伝えるのか、はたまた小学生に伝えるのか。まったく伝え方は変わってくるはすです。 『Next Stage』では、日本語を日本語に書き換えるリライトというトレーニングも行っています。ある文章を渡して、「30代の男性向けに」「若い女性向けの雑誌の記事として」などという条件で書き直すことで、伝え方の幅と柔軟性を鍛えるトレーニングです。 『Next Stage』を受講している200人近くの方々の進歩を見ながら、このように必要なスキルや要素があったとしたら、それは取り出し、鍛えることができる、と実感しています。いま「伝えること」がじょうずでなくても、意識すること、コツを押さえて練習することで、じょうずになれると思います。 同時に、広がりという意味での成功事例、たとえば「100万人のキャンドルナイト」やホワイトバンド、地元で大人気の商品などからも学ぶこともできるでしょう。新しいアプローチとして注目を集めつつあるコミュニティ・マーケティングを取り入れることもできるでしょう。 広げるためには、広げるためのシステムをデザインすることです。 「システム思考でエコな商品・アイディア広げるためのマーケティング講座」は、そのシステムと戦略を身につけるための講座です。「システム思考」と「イノベーション普及理論」に基づいて、持続可能性のための商品、技術、アイディア、イベントなどを広げ、その利用者・参加者を増やすための(1)知識、(2)戦略のつくり方、(3)実行のスキルを学びます。 戦略的コミュニケーションの練習では、参加者は、実際に販促物として用いているチラシなどを持ち寄り、作り手ではなく、受け取り手の立場に立つトレーニングを行います。コミュニケーションの方法や販促物を明日からすぐに改善することができます。 持続可能性のためのマーケティングやコミュニケーションにご興味のある方、「どうして売れないのだろう」「どうして増えないのだろう」と「広がり」がネックになっていると悩んでいる方、ぜひごいっしょに学び、力をつけましょう! (注:この「広げるための理論と実践」を使えば、実は、どのようなものでも広げることができます。でも、悪いことを広げるためには使ってほしくないため、今回の講座は、地球や人々の幸せに役立つよいことやよいものを広げてようとしている方のみを対象とさせていただきます。^^;) 「システム思考でエコな商品・アイディアを広げるマーケティング講座」 ■目的 とくに、「システム思考」と「イノベーション普及理論」とに基づいて、社会や組織など「システム」の特性を理解し、理論に裏打ちされた実践的な手法を活用することに主眼をおきます。 ■対象 ■日時・場所 ■プロセス ■ワークショップ構成 (より効果を高めるために、ワークショップの流れによって構成を変更する場合があります。) ■講師 枝廣淳子/(有)チェンジ・エージェント ■期待する効果 ■受講料 ■お申し込み・お問い合わせ お申し込みは、下記申し込み票を電子メールでお送りください。 IMS(Institute of Marketing for Sustainability:持続可能性のためのマーケティング研究所)の活動の成果の第一弾、何のどのような広がりにつながるのかなー、とわくわくしています。そして、第二弾、第三弾も、開発・準備中ですので、どうぞお楽しみに! |
| ← 前の記事 | index | 次の記事 → |
