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| シューマッハ通信より~学びの場と自己組織化(2007.01.28) |
前号に続き、昨年暮れの「望年会」でのプレゼンから、もうおひとりご紹介します。これまでにもご紹介したことのある「シューマッハ―通信」を出している星野敬子さんです。 星野さんは、JFSの初代インターン生のひとりで、JFSでの活動をきっかけとして世界に目覚め(?)、英国のシューマッハー・カレッジに留学し、去年の秋に日本に戻ってきました。 星野さんの出している「シューマッハ―通信」は、ウェブ上でも読めます。いろいろな写真も載っているので、楽しいですよー。http://scoh.exblog.jp/ 暮れの会で、スライドを見せながら話してくれたカレッジのようすを伝える「シューマッハー通信08」をお届けします。self-organization(自己組織化)とは、彼女の修論のテーマですが、システム思考の重要な上位概念のひとつであり、私にとってもとても興味があるものです。 ~~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~ ショート・コースでの学び 修論では主に、シューマッハー・カレッジのショートコースとマスターコースの学びのプロセスを、self-organizingシステムとの関係から研究しています。今回は、ショートコース参加者の学びに、どうself-organizingシステムが活かされているのかがテーマです。 (ショートコース参加者は、週1~3週間シューマッハー・カレッジのコミュニティ住人になり寝食をともにします。講師としてはカレッジ専従の講師の他、世界中からさまざまな分野の専門家が数日~2週間講義を行います) ■ ショートコースとSelf-Organizing Learning シューマッハー・カレッジのショート・コースは、主に以下の5つの要素から構成されています。 5) Reflection(振り返り) 1) Formal Study これは、講師による講義形式のセッション(平日午前10時から13時)と、講師と少人数(3~6参加者)のディスカッション(週に1~2回)を指しています。本パートは、普通の大学などで行われている講義形式と似ていますが、講師と生徒の距離感という点で、大きく異なるように思います。 講師は講義期間(数日~2週間)ショートコース参加者を含めカレッジの住人と生活をともにします。コミュニケーションの機会がたくさんあるため、一般の教育機関ではなかなか得られない先生と生徒という枠組みを越えた関係が実現し、能動的な学びを促しています。 2) Open Space ほとんどの参加者は午前中のFormal Studyに参加しますが、午後のセッション(フィールド・トリップ・ディスカッション・プレゼンテーションなど)には選択的に参加しています。カレッジのサポートのもと、参加者の興味・関心に応じてさまざまな活動が企画されます。ある参加者が、カレッジの特異点として参加者の自由な学びを可能にするスペースを挙げています。 「カレッジにユニークな点は、教育機関が設置した枠組みや規範に当てはめた学びではなく、個人が自分で「考える」自由な空間にある」(参加者のコメント) Open Spaceは、自分で考え意義付けするプロセス自身を学びの中心に据えるself-organizing learningにとって大事な要素です。 3) Self-Organized Activities 午後のプログラムは柔軟で、参加者の希望や提案によってディスカッションやワークショップなどが行われます。たくさんの参加者から、自主的な学びを楽しんだというコメントが寄せられました。 「専門家に「自分を教育してくれ!」と依存したり頼ったりせずに学ぶSelf-Organized Activitiesをとても楽しんだ」(参加者のコメント) 「Self-Organized Activitiesは素晴らしかった!Self-Organized Activitiesのもつ力や強さと、この質の高い活動に従事できる参加者の能力に驚き感心し、うれしかった。」(参加者のコメント) 私はこれまで4つのショートコースに参加しましたが、各コースは全く異なる雰囲気をもち、学び方も大きく異なりました。これは、Formal Studyの違いによるものではなく、参加者の性質や目的に準じたSelf-Organized Activitiesによるものだと思いました。ショートコースは、カレッジから一方的に提供されるものではなく、カレッジと参加者が恊働でつくるものなのだと感じています。 4) Community Work 参加者は毎日、掃除・料理・ガーデニングなど何らかのコミュニティ作業に従事します。カレッジでの学習は、生活から切り離されていません。一員として同じ空間を共有し、ともにコミュニティづくりに参加しています。 このコミュニティ生活を通じて、互いに関係を築いたりつながりを感じたりすることができた、という声がたくさん寄せられました。 「コミュニティ活動は、ショートコースのうち最もすばらしい側面の一つ。本活動を通して、参加者とその環境、また参加者同士のつながりを感じることができた。参加者とスタッフが調理した料理を一緒に食べることに、特別な喜びを感じた」(参加者のコメント) また、生活をともにすることでコミュニケーションする機会がたくさんあり、1~3週間という短い間ですが、一生の友人を得たという人もたくさんいました。 5) Reflection カレッジでは、振り返りの時間を大切にしています。毎朝の瞑想から始まり、コミュニティ全体ミーティング、セッション前の振り返りなど、振り返りの時間がたくさん設置されています。また、コースの進捗をはかるミーティングが、全体グループと少人数グループで週に2度行われます。さらに、カレッジが設置した振り返りの時間以外にも、個人・グループがOpen SpaceやSelf-Organized Activitiesを利用して振り返りを行うことがよくあります。 たくさんの参加者が、振り返りを通して気づいた「予期しなかった」学びについてコメントしています。はじめ、多くの参加者は、Formal Studyとして提供される講義の内容や、世界中から訪れる著名な講師に惹かれてショートコースに参加します。 しかし、実際の学び(参加者にとって一番意味のあること)は、当初の期待や予想を超えたところ、Formal Studyで教えられる部分のなかではなくSelf-Organized Activitiesやコミュニティ生活を共にする全体のプロセスのなかにあることが分かりました。 「自分にとって最も意味のあった経験は、同じ想いを共有したコミュニティの一員だと感じたこと」(参加者のコメント) 大切な学びは、講師から一方的に教えられるものではなく、自分で意義付けするプロセスのなかにあるのだと思います。 シューマッハー・カレッジはこれらの5つの要素を統合し、多層的・多面的な学習環境を実現しています。 「ショートコースの全体的な構成を楽しみ、どれも大事なことだと思った。バランスがよく建設的だと感じた。「頭」が孤立するのではなく、頭・心・体・精神そしてそれらの相互関係が、全て学習環境に含まれていた」(参加者のコメント) 「5つの要素は、それぞれ少しずつ異なるのでお互いに何かを補い合い、全体的でより円熟した経験をするのに役立った」(参加者のコメント) また、カレッジの学習環境は、個人的でいて全体的です。カレッジでは個人の学びのプロセスを、共同生活を通した相互扶助のなかに据えています。参加者に、「カレッジでの経験を5つのキーワードで表すとしたらどんな言葉か?」という質問をしたところ、「つながり」「統合」「全体的」「共有」「コミュニティ」などの言葉が一番多く寄せられました。 グループは単なる人の集まりに留まる可能性がありますが、コミュニティは人の集まりに加えてグループに「共有された意味」(shared meaning)が必須となります。等身大の自己を超えたコミュニティのなかの自分(全体を包含した部分)という捉え方が「能動的に」できるとき、コミュニティとしてのグループに一貫性が生まれるのだと感じています。 「コミュニティの経験は、人について、また人とどう協同するかについて教えてくれた。Self-Organizationは機能するということを、このコミュニティは証明してくれた」(参加者のコメント) ■ 修論:Self-Organizing Learning 私は8月末に修論を提出し、シューマッハーカレッジを卒業しました。修論では、self-organizingシステムを科学的な視点から探求し、組織運営や教育などに応用する意義について論じています。そして主な研究対象は、今回も紹介したシューマッハー・カレッジでの学びのプロセスです。 タイトル 要旨 今後も修論を通して学んだことを、シューマッハー通信としてお送りする予定です。修論(英語)ご希望の方は keiko_mail2@yahoo.co.jp までご連絡ください。メール添付のかたちでご送付いたします。 では、次回は日本からの配信です。次回は、マスターコースでの学びを紹介したいと思います。 どうぞお楽しみに! 星野敬子 ~~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~ こうして帰国して、その後もシューマッハー通信を出しつづけている星野さんですが、縁あって11月より私たちといっしょに仕事をすることになりました。ワークショップやセミナーなどでご一緒させていただく機会もあると思います。 自律的・自立的なうねりを創り出していく上で「自己組織化」はとても大事なポイントです。企業などの組織でも、NGOなどの活動でも、自己組織化を促す状況や要素もあれば、それを阻む状況や要素もあります。(上記のレポートからも、促す環境や要素が感じられることでしょう) 欧米では、企業における自己組織化をいかにはぐくみ、しなやかに強い組織を作るか、という研究や実践も盛んです。そういった研究や事例を勉強し、自分の活動のさまざまなプロジェクトやJFSなどの場で実践しながら、「自己組織化」のメカニズムや要素をさぐり、社会の中に埋め込んでいきたい、と考えています。 |
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