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| アトキソン・レポート 第10号 (2005年4月14日発行) -Sustainability Change Agent Network (S.C.A.N.)のニュースレター- |
S.C.A.N.は、アトキソン社(http://www.AtKisson.com)が提供しています。 |
「ウェーブフロント」という名称が津波を連想させることを憂慮し、名称を変えることになりました。第10号より、「アトキソン・レポート」(THE ATKISSONREPORT)としてお送りします。 今回のニュースレターでは…・環境「コスト」と呼ばれる多くのものは、じつは「投資」という枠組みでとらえるべきものではないか。それを裏付ける根拠と関連する情報をご紹介します。 また「持続可能性が経済効果を生む」という主張をより効果的に展開したい方には、お役に立つ正確な情報、グラフ、データ等の詰まったミレニアム・エコシステム・アセスメント(ミレニアム生態系評価)の活用法も伝授します。(これは生態系に関する科学的なアセスメントを実施して各国政府などに情報提供するため、国連の呼びかけで2001年に発足した世界的研究プロジェクトで、2005年3月30日、初の報告書が公表されました) 目次検索/置換すべし: 「儲けを生むなら、『コスト』とは言わない」ニュースの活用法: ミレニアム・エコシステム・アセスメント(ミレニアム生態系評価)アトキソングループからのお知らせ持続可能性にまつわる語録: 歩行と思考クレジット ========================================================================== 検索/置換すべし持続可能な発展の実践にまつわる不定期コラム (アラン・アトキソン)儲けを生むなら、「コスト」とは言わないメッセージがはっきり伝わるように、のっけからストレートに申しあげたい。環境に費やしたお金が、のちのち儲けになって戻ってくるなら、それを「コスト」と呼ぶのは間違っているのだ。どうひいき目に見ても、この言葉の使い方はいい加減だし、悪く言えば、経済、環境、いずれの視点から見ても、 無責任な使い方である。 ところが、環境のこととなると、人はこんな基本的な間違いを、未だに繰り返しているのである。 そう、私は今、大演説をぶっている。これが私の使命だから。私は、この一点について、世界を変えたいと思っている。そして、みなさんにも手伝ってもらえないかと考えている。 みなさんにお願いしたいこと: 今からご紹介する事例を読んで記憶にとどめ、誰かが「環境コスト」という言葉を不適切に使っているのを見聞きしたら、「違いますよ」と、やんわりと注意していただきたい。あるいは、ピシッと正してもらってもいい。または、こばかにしたように「おやおや~、どうやら経済学入門をちょくちょくサボっていたみたいだね、違う?」と笑ってみる手もある。相手がそれに一番反応しそうだ、と思えばの話だが。 こんなお願いをするのも、今や裏付けが世界中に転がっているからだ。環境浄化や気候変動の抑制はもちろんのこと、われわれ(他の生き物も含む)の身の安全を守るための数々の出費は、儲けも生むのである。それも、とびっきりの! 考えてみよう。 ドイツ政府は、温室効果ガスの排出量削減をめざしてさまざまな政策や投資を行ってきたが、最近、それが経済に及ぼす「マイナス効果」は皆無であるどころか、新たに45万もの雇用を創出していたことを見出した。ほんのちょっぴりの推論で、 気がつくはずだ。政府が気候変動の抑制に投資することで、失業手当を受給していた50万人近くの人たちが納税者に変わったのであれば、それは何十億ドルもの利益を生むのだと。 日本のトヨタ自動車は、同社が発行する「環境社会報告書2004」において、2,010億円を「環境コスト」に投じたと報告している。そして、同じ報告書の数ページ後に、こうした支出が消費者に与えた影響についても述べている。それによると、環境分野でのトヨタの評判は、「地球に優しいから」とトヨタを選ぶ消費者を生み出し、結果的に2,600億円の売上増につながったという。つまり、トヨタは、支払った「環境コスト」に対して、約30%の収益を得ている計算になる。 英国のNGO、クライメート・グループ(Climate Group)の共同主宰者であるマイケル・ノースロップ氏がワシントン・ポスト紙に寄稿した記事で次のように述べている。大手企業6社――IBM、デュポン、BT(ブリティッシュ・テレコム)、アルカン、ノルスク・カナダ、バイエルの各社は、1990年代初頭から二酸化炭素排出量を少なくとも60%削減しており、その過程で、6社合わせて40億ドルを上回る収益を上げている。 カリフォルニア州で建物に関する調査を行ったところ、環境基準を満たすための「追加費用」は平均約2%であることが明らかになった。つまり、環境に優しい建物は、そうでない建物よりも2%余分な「コスト」がかかるのである。しかし、欠勤者が減り、従業員の生産性が向上する、といった波及効果も計算に入れると、2%の追加費用は、結果として、最大でその10倍の収益となったのだ。 こうした比較的緩やかで、しかも測定しにくい、労働者への効果を除外し、単純に水道・光熱費だけで考えたとしても、余分な支出に対する収益率は、平均50%だった。つまり、環境に優しい建物を建てると、50~1000%の投資収益率を生む可能性があるのだ。 そこで、皆さんにお尋ねしたい。このように大きな利益を生む投資が「コスト」とみなされている現状を、私たちは一体なぜ容認しているのだろうか? このような会計処理は重大なミスではないだろうか? これほど明らかな投資回収のチャンスを逃すとは、経営の怠慢というほかはない。役員の面々は、自分たちの受託者責任が追及されないか、株主から訴訟を起こされないか、とびくびくしなければならないところだ。 言いたいことは山ほどあるが、このコラムは750語(英単語)までと決めている。さらに詳しい根拠が必要な方は、『仮邦題:国の自然優位』(The NaturalAdvantage of Nations)を参照していただきたい。この本は、持続可能性から得られる競争上の優位について、分析と事例研究を概説した学術的な書である。今の時代、経営、政策、および経済学を学ぶ全学生にとって、これは必読書とするべきものだ。 それはとりもなおさず、すべての人にとって必読の書ということである。なぜならば、持続可能でしかも利益を生む地球のマネジメントという点では、私たちは皆学生と同レベルであり、この分野の教授あるいは専門家を名乗る人々も例外ではないのである。 そのようなわけで、どうか私たちと一緒に、わかっているべきなのにそうでない人たちの経済音痴と闘っていただきたい。環境に優しくて、持続可能で、実は儲けになるようなものを「コスト」と呼ぶことは禁止しよう。そして、「投資」という言葉を広めていこう。 リンク先および情報源http://www.theclimategroup.org/index.php?pid=422 ======================================================================== ニュース活用の秘訣最新情報の利用法持続可能性支持の経済論に力を与えるミレニアム・エコシステム・アセスメント2,000万ドルを投じて行われた、地球生態系の現状調査のニュースはご覧になっただろうか? この大がかりな研究に関する報道を目にした人は、現在われわれの置かれている状況がいかに劣悪なものであるか、おわかりになったことだろう。しかし、それが受け止めた情報のすべてだとしたら、マスコミが誤った伝え方をしたために、この研究の最も大事な点を見落としたことになる。 「MA」(ミレニアム・アセスメント)と呼ばれるこの研究プロジェクトの主要な点は、「持続可能な発展・マネジメントおよび各種の環境保護活動は経済的利益をもたらす」という主張に論拠を与えることである。この研究は、膨大な最新情報を提供しており、持続可能性を促進しようとしているすべての人にとって、環境への関心が低い同僚、クライアントや啓発したい相手にわかりやすく説明する際の情報源となり得るものだ。 例えば、 私たちの食糧生産を支える自然の力にどの位の価値があるのか、信頼できる値(年間約1兆ドル)で示すことができる。そして、友人、同僚、クライアントに気付かせることができる。世界人口の22%および世界の経済活動の4分の1は、自然の食糧生産力を維持できるどうかにかかっているのだと。もちろん、私たちの食べる力については言うまでもないが。 「自然に帰る」ことは銃や釣竿に頼る生活に戻ることだと考える人たちには、娯楽としての狩りや漁業に関する自然の経済的価値を主張することができる。それは、米国だけでも年間750億ドル以上になるのだ。 重要な資源である水に関しては、水質が悪化していると明言できる。そして、水質が改善されている地域(豊かな先進国)と悪化している地域(主に貧しい国。但し窒素汚染は地球規模で30%増加している)についても明らかにできる。 自然への配慮を怠ると莫大な費用がかかり、収益のチャンスを失うという、何よりの証拠を引用することができる。考えてほしい。例えば、カナダの手つかずの湿地と集約的農地に転換した湿地は、「正味現在価値」(経済用語)が100%以上違う。つまり、湿地をそのままにしておくだけで、農地として利用する場合の2倍の価値があるのだ。 MAにはすべてが盛り込まれている。例えば、魚類の減少が経済に与える影響、気候変動による保険制度のリスク増大、自然破壊が地球上の貧困に与える影響など・・・。何でもそろう百貨店のようなもので、いわゆる基本的事実(基礎データであっても情報は不可欠である)も、政策や計画立案に向けた最も説得力のある裏付けも同時に手に入る。 ウェブサイトでは、報告書の全文はもちろん、統合報告書、普及版、プレゼンテーション用スライドもダウンロードできる(上述の事例はすべて、「全調査結果(Full Findings)」というプレゼンテーション用スライドの引用である。これ自体が優れた概要資料となっている)。 プロジェクトに携わった1,300人はもちろん、編集者たちは、この大規模プロジェクトを見事に完成させ、多様な情報を利用しやすいものにまとめ上げた。図表や数値、地図など、議論の裏付けに必要なものが選択できる。 ミレニアム・エコシステム・アセスメントは必須アイテムである。活用しよう! ========================================================================= アトキソングループからのお知らせ最近行われた基調講演とプレゼンテーションアラン・アトキソンは、先日、スイス政府後援の「指標の視覚化」に関する会議で基調講演を行った。アトキソンの講演ファイルは、この会議の文書サイトで閲覧できる。彼は次のように述べている。 「この度の会議はとても素晴らしく、私は発表者から多くのことを学んだ。特に印象に残ったものは、ギャップマインダー(訳注:複雑な発展動向が簡単に理解できるよう、動的グラフで表したウェブサイト)への関心の高まり、持続可能性指標に関するフィンランド政府の取り組み(重要な会議の中で実際に指数を検討している首相やアドバイザーの写真も発表された)、経営データの効果的な発表に関する持続可能性志向でない人たちの講演などである。このウェブサイトは必見である」。 一方、現在ロンドン郊外に拠点を置くマイケル・ランは、ポーランドで行われた持続可能性を専門とする大学教師の会議で講演を行った。これは「バルト海地域大学(Baltic University Programme)」が運営する数多くの活動の一つである。バルト海地域大学とは、バルト海沿岸の大学による実に素晴らしいネットワークで、持続可能性をテーマにした授業や優れた教材作りを共同で行っている。 ストックホルム地方政府の新しい指標アラン・アトキソンは先日、持続可能性に関する包括的な指標を新たに開発するプロジェクトを終了した。指標はストックホルム地方の保健と交通のサービスを担当する行政機関が使用するもので、この地域の年次報告プロセスを全面的に見直し拡充するための、数年がかりの大型プロジェクトの一環である。「アトキソン・ヨーロッパ」は、パートナーである「ケミ&ミリョ(Kemi & Miljo)」(スウェーデンの環境コンサルタント)と共同で、この指標開発のコンサルタントとして中心的役割を果たした。 指標は、「価値と影響の連鎖」全体の持続可能性、つまり、資材購入から良い医師の雇用、さらに病院やバスから排出される物質の経済上および健康上のコストに至るまでの持続可能性を測るためのものである。このプロジェクトは、公共部門の報告としては画期的な試みとされており、いずれまとめ上げられて専門誌で発表されるだろう。 日本でチェンジ・エージェント(変化の担い手)育成の動きネットワークのパートナーである東京の枝廣淳子氏と小田理一郎氏は、「システム思考」などのツールの使い方を教える新たなベンチャーを始めている。日本人で詳細な情報が必要な方、また、日本人でなくても興味のある方は、ご連絡下さい! 持続可能性にまつわる語録「歩こうという気持ちをなくしてはいけません。私は毎日、歩くことで健康に近づき、病から遠ざかっています。私は歩くことにより、最高の考えの着想を得、また、どんなに煩わしい思いも、歩くことで忘れられるものです」。セーレン・キルケゴール(デンマーク人哲学者)(1850年頃) (ヨルゲン・ノーガード(Joergen Norgaard)氏に翻訳していただきました。) |
クレジット及び問い合わせ先原文著作権はアトキソン社(AtKisson, Inc.)に帰属しています。ニュースレターの転送・複製はご自由にどうぞ。 投稿やフィードバックを歓迎します。こちらまでemailでお送り下さい。 ご質問はありませんか? 持続可能性に関して私たちにお手伝いできることがありますか? こちらまでemailをお送り下さい。私たちの仲間が直ちにお答えします。 info@atkisson.com インターナショナル・コミュニケーションズ・チーム 私たちのホームページへどうぞ! http://www.AtKisson.com 注:ニュースレター内に記載されているリンク先は記事配信時のもので、その後のページの移動・削除には対応していませんので、予めご了承下さい。 |
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