ホーム > データを読む > 2015年度の日本の貧困率:改善傾向にあるが高い水準が続く

データを読む

36

2015年度の日本の貧困率:改善傾向にあるが高い水準が続く

2017年08月30日
 
2015年度の日本の貧困率:改善傾向にあるが高い水準が続く

2017年6月27日、厚生労働省は2015年度版「国民生活基礎調査」の結果を公表しました。ここから、貧困率について紹介し、解説しましょう。

日本の貧困率の推移

この調査によると、2015年度の相対的貧困率は15.6%、約6人に1人が貧困という結果でした。前回調査(2012年度)の相対的貧困率は16.1%だったので、前回に比べて貧困率は0.5ポイント低いという結果です(ただし、誤差を考慮すると、ほとんど差はありません)。

また、前回調査では「約6人に1人の子どもが貧困」であることが大きな話題になりました。その17歳以下の子どもの貧困率を見てみると、今回の調査では13.9%(約7人に1人)と、2012年度の16.3%から2.4ポイント改善しています。

grh_20170830_01.jpg

このように、貧困率は前回調査からはやや改善傾向がみられます。ただし、図1を見ると、1980年代の水準よりはまだ高いことがわかります。

OECD加盟国の中での日本の貧困率

OECD(経済協力開発機構)加盟国の貧困率を並べてみました(図2)。貧困率が最も低いデンマークは5.5%。デンマークでは、約18人に1人が貧困という計算になり、日本の3分の1程度です。日本の貧困率は、改善傾向にあるとはいえ、図2からもわかるように、OECD加盟国の中では高い方に入ります。

grh_20170830_02.jpg

相対的貧困率とは何か

なお、今回取り上げた貧困率は「相対的貧困率」と呼ばれるものです。相対的貧困率とは、国民の所得の中央値(所得の低い額から順番に並べたときにちょうど真ん中の額)の半分未満の所得しかない人々の割合を示すものです(※1)。相対的貧困率は、先進国の貧困を示す際に一般的に使われる指標です。

それに対して、発展途上国の貧困を示す時には、「絶対的貧困」という考え方が使われます。絶対的貧困とは、収入や支出が一定の基準に達していない状態を指します。国際的には、世界銀行が2008年に設定した1日あたり1.25ドル未満という基準がよく使われています。

「絶対的貧困はともかく、相対的貧困は本当の貧困とはいえないのではないか」という意見を耳にすることがあります。この問題について、相対的貧困率と生活保護の要保護率の重なりを調べた研究があります。

この研究によると、東京都23区など最も物価が高い地域に適用される生活保護の基準(1級地の1)の場合、年齢などにより差があるものの、平均すると「相対的貧困」に該当する人の9割弱が、生活保護を受ける水準にある人々と重なっています(山田ほか,2015)。こうした結果からも、相対的貧困率は、日本の貧困を考える上で妥当な基準と考えることができるでしょう。

※1 OECDでは、等価可処分所得の中央値の半分の金額未満の等価可処分所得しかない人の割合を算出しています。


こちらもどうぞ

先進国30ヶ国中、貧困率が4番目に高い日本(2013年8月31日)
http://www.es-inc.jp/graphs/2013/grh_id004288.html

日本は平等な社会? 不平等になりつつある?(2013年5月22日)
http://www.es-inc.jp/graphs/2013/grh_id003966.html

GDPが大きくなっても、貧困問題は解決していない(2014年9月28日)
http://www.es-inc.jp/graphs/2014/grh_id005374.html

エダヒロの本棚 > 反貧困―「すべり台社会」からの脱出
http://www.es-inc.jp/books/2009/bks_id002917.html


参考・引用資料

厚生労働省, 「国民生活基礎調査」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/20-21.html

OECD DATA, Poverty rate
https://data.oecd.org/inequality/poverty-rate.htm

山田篤裕, 四方理人, 田中聡一郎, 駒村康平, 2010「貧困基準の重なり--OECD相対的貧困基準と生活保護基準の重なりと等価尺度の問題」『貧困研究』vol.4

 

このページの先頭へ

このページの先頭へ