まえがき/あとがきより

エネルギー危機からの脱出 ―最新データと成功事例で探る"幸せ最大、エネルギー最小"社会への戦略

 あとがき

 本書を書き進めているあいだにも、原油や天然ガス、灯油などのエネルギー価格がどんどん上がり、引きずられるように、ガソリンや、食料品その他の価格もどんどんと高騰しています。
 本書の仕上げに入ったころ、私は福田総理の直轄する地球温暖化に関する有識者懇談会のメンバーに選ばれました。地球温暖化とエネルギー問題は表裏一体だという思いをますます強くしています。
 米国には、地球温暖化対策とエネルギー戦略を重ね合わせて進めている自治体があります。日本では、地球温暖化問題やガソリンなどの価格高騰については報道されても、エネルギーの状況が構造的に大きく変わりつつあること、今後、国として、また地域、組織、個人として、どのように対策を打つべきかという大局的・長期的なエネルギー戦略を考える取り組みはまだほとんどありません。
 先日インドネシアで、こんな話を聞きました。
「山のなかに小さな村があります。しばらく前に、インドネシアが大きな経済危機に襲われ、すべての価格が上がって大変な状況に陥ったとき、この村の人に、経済危機は大変だという話をしたら、『経済危機って何のことですか?』というのんびりした答えが返ってきました。状況を説明すると、『ああ、そうなんですか。私たちの村では、食べ物もエネルギーも、みんな自分たちで作っているから、全然知りませんでした』と答えたんです」
 経済発展から取り残された遅れた村のように思えるかもしれませんが、これから私たちが出すべき、いちばん安全で確かな、一つの社会のあり方を示しているのかもしれません。
 エネルギー危機は、ひたひたと足元まで押し寄せています。ガソリン価格が上がった、○○も値上げした、という目の前のことだけではなく、大きな構造をとらえ、未来をしっかり考えることで、私たちはこのエネルギーの危機をチャンスに変えることができます。
 モノよりも心を重視する。小さな循環を大事にする。もったいないという気持ちを形にする。そして、本当の幸せを考えていく――本書が本当の解決を考えていくうえでの一つの足がかりになるとしたら、これ以上うれしいことはありません。
 本書のために、デニス・メドウズ、レスター・ブラウン、デイビッド・ヒューズの各氏に多大な協力をいただきました。本書の出版を決め、厳しいスケジュールのなか、作業を進めてくれたソフトバンク クリエイティブの錦織氏、イラストレーターの後藤範行氏、「枝廣さんの伝えたいというエネルギーは枯渇しませんね」と笑いながら、さまざまなリサーチや確認作業を手伝ってくれた小田理一郎、飯田夏代、星野敬子ほか、執筆を支えてくれたすべてのスタッフに感謝の気持ちでいっぱいです。
 ピンチはチャンスなり――問題構造に目をつぶって、ピンチがやってきてから跳び上がるのではなく、少しずつでも考え、一つずつでも取り組みを進めていきましょう。 

枝廣淳子

 

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